研究課題
本研究は、地球温暖化に関する適応策を国際貿易を含むグローバルシミュレーションモデルで分析することを目的としている。研究開始から本年度までに、熱帯サイクロンに関して、温暖化ガスの影響が世界貿易に与える影響の分析、生物多様性が与える影響の分析、さらには、モデルを拡張し同額的に世界の地域主体の行動が与える英気用の分析も行った。サイクロン被害関数については、Narita(2009)論文に基づき再推計し、定式化した。モデルは、世界を16地域に分割し、また、本分析用に産業分類を農林水産業、工業、サービス業に分解し、全休平均気温の1度から4度上昇が世界経済に与える影響を分析した。特に、こうした温度上昇が直接当該地域の経済に与える影響と、世界経済全体からの関節影響の推計を比較することによって、こうした世界経済モデルの有用性を示すことができた。この結果については、INternational Journal of Global Warming誌に掲載された。さらに、温暖化による生物多様性の喪失が世界経済に与える影響を、上記と類似したモデルでシミュレーションするために、特に、遺伝資源由来の医薬品産業に注目し、同産業の被害を計測することによって明らかにした。また、本モデルを基に、逐次均衡型の動学的シミュレーションモデルも開発した。それによって、各地域がゲーム論的に協調、非協調の態度をとったときの世界経済への影響、特に貿易を通した影響の普遍化について理解が深まった。こうした分析によって温暖化被害が世界貿易によってどのように緩和されるかが示されこれまでの適応策研究が直接地域や産業に与える影響にのみ焦点を当てていた状況から、世界貿易に与える影響を十分考慮しなければならないことを明らかにすることができた。
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International Journal of Global Warming
巻: Vol. 6 No. 4 ページ: pp.466-499
10.1504/IJGW.2014.066050
http://beta.genv.sophia.ac.jp/~emeda/page4.html