持続可能な社会の形成に必要な国際公共財の維持管理に注目し,その供給に関して国際課税の可能性を検討した。国際間の問題ではガバナンスのあり方の検討が必要である。国際公共財の供給とその財源の確保は一国では対応が困難な問題であり新しい公共の枠組みが必要であり,当事者には個人,企業,NGO,各国政府,国際機関などが考えられ,制度設計には,当事者主権の観点からも多様な主体の参加が必要であり,誰が,どのように参加することが望ましいのか,可能なのかを含めた議論が必要となる。 ガバナンスを「目標と手段を主体的に選び目標を達成すること」とすると,参加者間で目標の設定,実行過程の公開,意思決定における情報共有,合意形成の仕組みなど,当事者主権・合意形成・参加などの制度設計が重要な課題となる。国際公共財の維持・管理の制度設計には当事者主権の観点から,多様な主体の参加が望ましい。ICTの活用による問題提起・現状認識・代替案の提示・評価・検討・行動などのサイクルタイムの短縮と多対多のコミュニケーションの連鎖による影響は計り知れず,多様な主体間のコミュニケーションの役割は大きい。 小さな政府においては公共財供給が不足しがちとなり,公共財供給の新たな担い手として社会的企業が注目を集めている。東日本大震災からの復興の観点からも,福祉と雇用の連携(就労支援)が大きな課題となる。個人や法人の多様な関心をベースとした支援(寄付,ボランティア,プロボノ活動など)は,意志を適切に反映する支援の受け皿を求めている。社会的企業には社会の諸資源を動員し社会的諸課題の解決を図る力が必要とされる。個々の社会構成員は社会的企業への支援を通じて,社会的課題の解決を支援する。社会的企業の活動に必要な資金調達の面では,認定NPO法人などへの寄付優遇税制の変更など,制度により意志ある資金が社会的課題の解決への工夫も始まった。
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