研究課題/領域番号 |
23510059
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅野 新一郎 東北大学, 加齢医学研究所, 講師 (10400417)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | DNA修復 / APエンドヌクレアーゼ / アセチルトランスフェラーゼ / ポリADPリボシル化 |
研究概要 |
ゲノムの安定性は様々な DNA修復機構とチェックポイント機構に支えられ維持されている。私はゲノムの安定性を支えるDNA二重鎖切断修復機構とDNA単鎖切断修復機構に関わるタンパク質のバイオインフォマティクス解析から2つの新規DNA修復酵素PALFとAPNXを発見し、またPALFのプロテオーム解析から新規ポリADPリボシル化酵素NL-PARPを発見した。PALFとAPNXはAPエンドヌクレアーゼの活性を持つが、さらにPALFの酵素活性を調べたところDNA単鎖切断酵素活性があることが明らかになった(Li S, Kanno SI et al, J Biol Chem 2011)。また、APNXのプロテオーム解析からAPNXはポリADPリボシル化酵素PARP1とヘテロダイマーを形成していること、DNAの酸化損傷で活性化されるPARP1の活性化にAPNXが必要なことが明らかになった。APNXリコンビナントタンパク質の精製でAPNXが何らかの修飾を受けることがわかっていたが、調べたところアセチル化されることがわかった。この修飾化について解析したところ、この反応は自己アセチル化反応でありAPNXがエンドヌクレアーゼ活性とアセチルトランスフェラーゼ活性の2つの酵素活性をもつ dual functional enzymeであることがわかった。現在このAPNXのアセチル基転移酵素活性の生理的な機能を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Flag-tagをもつPALF, APNX, NL-PARPの安定発現細胞株の樹立し、免疫沈降法とnanoLC/MS/MSによるプロテオーム解析を終えた。各siRNAによるノックダウンでこれらのタンパク質の発現を抑えられることがわかり、現在ノックダウンでのphenotypeを解析している。
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今後の研究の推進方策 |
PALF, APNX, NL-PARPはいずれも新規酵素で、この活性にかかわる部位の同定や酵素メカニズムの解明が必要であると考えられる。予想活性部位にポイントミューテーションを入れたタンパク質を作成し解析する必要がある。特にAPNXの場合、エンドヌクレアーゼとアセチルトランスフェラーゼの2つの酵素活性をもつ珍しいタイプの酵素であるのでその機能の使い分けに関して重点的に解析する必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
プロテオーム解析により同定された相互作用タンパク質のノックダウン実験のために、各種抗体、siRNAの購入をする。
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