研究概要 |
ゲノムの安定性は様々な DNA修復機構とチェックポイント機構に支えられ維持されている。私はゲノムの安定性を支えるDNA二重鎖切断修復機構とDNA単鎖切断修復機構に関わるAPTX, PNK両タンパク質の持つFHA domainのバイオインフォマティクス解析から、新たに2つの新規DNA修復酵素PALFとAPNXを発見した。さらにPALFのプロテオーム解析から新規ポリADPリボシル化酵素NL-PARPを発見した。PALFはAPエンドヌクレアーゼの活性を持つこと(Kanno SI et al, EMBO J、2007)さらにPALFの酵素活性を詳細に調べたところDNA単鎖切断酵素活性もあることがわかった。(Li S, Kanno SI et al, J Biol Chem 2011)。また、APNXの機能解析でAPNXもAPエンドヌクレアーゼの活性を持ちnucleaseの活性をもつことがわかった。APNXの機能を解析する目的で定常発現細胞株を樹立しプロテオーム解析したところ、APNXはポリADPリボシル化酵素PARP1と1:1の結合比でヘテロダイマーを形成していること、APNXのsiRNAを用いたノックダウンでDNAの酸化損傷で活性化されるPARP1の活性化が起こらいことからPARP1の活性化にAPNXが必要なことが明らかになった。 一方、APNXリコンビナントタンパク質の精製でAPNXが何らかの修飾を受けることがわかっていたが、調べたところアセチル化されていることがわかった。この修飾化について解析したところ、この反応は自己アセチル化反応でありAPNXがエンドヌクレアーゼ活性とアセチルトランスフェラーゼ活性の2つの酵素活性をもつ dual functional e nzymeであることがわかった。現在このAPNXのアセチル基転移酵素活性の生理的な機能を解析している。
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