研究課題
未知の有害化学物質が水環境中に放出された場合、それを確実・迅速に検出する完全な環境汚染モニタリングシステムは、残念ながら今のところ存在していない。環境汚染を早い段階で検出してそれを未然に防止することは重要かつ必要であるが、通常の化学分析法は検出に時間がかかり、早期の段階での水質汚染を検出することは難しい。そこで、生物材料を用いた水質モニタリングの試みが、これまでにもいくつかなされている。しかし、これらの方法には問題点が多く、高性能(高感度・高速)のバイオモニタリングシステムの開発が求められている。原生動物には、様々な環境変化に対して鋭敏な応答現象を示すものがある。本研究では、ユーグレナを利用し、誘電解析法(インピーダンス法)を用いた新しい水環境のバイオモニタリングシステムの開発を試みた。平成25年度は、外部から細胞外液を継続的に流入・流出させることができる流路を設けた並行板コンデンサー型測定セルを改良し、広帯域インピーダンスアナライザーで測定しつつ、電気的パラメータの周波数特性を調べた。その結果、外液中に様々な化学物質を加えることにより生じるユーグレナの細胞形状の変化に加え、いくつかの特徴的な誘電特性の変化を感度よく検出することができた。また、誘電理論解析を行い、インピーダンス特性の変化を、細胞各部の電気的パラメータの変化として推定するための解析ソフトウェアを作成した。これにより、有害物質の効果をオルガネラレベルでの電気的変化として捉えることが可能となった。
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