研究課題/領域番号 |
23510068
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
小島 正美 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (40183339)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 赤外線A波 / 熱障害 / 眼内での熱輸送 / 虹彩 / 感温カプセル / 白内障 / 家兎 / 網膜の熱障害 |
研究概要 |
1)赤外線A波曝露による眼障害発生の有無の検討:有色家兎の片眼に赤外光ビーム(波長808 nm、パワー 0.6 W、直径5 mm)を虹彩と瞳孔の境界部または散瞳下に6分間曝露した。その結果、曝露部の虹彩は熱障害により変色し、虹彩直下の水晶体は混濁した。一方、虹彩のない瞳孔領の水晶体は混濁しなかった。瞳孔領に相当する部位の網膜には熱障害と見られる障害が惹起された。同様の実験を虹彩に色素が少ないアルビノ家兎(白色家兎)で実験を行ったが、虹彩の熱損傷、水晶体混濁、網膜の熱障害の何れも観察されなかったことより、赤外線A波による熱障害には、眼内の色素が綿密に関与することが明らかとなった。2)外線A波曝露による眼内温度変化の検討、眼内の熱輸送の検討:有色家兎の片眼に0.2%の感温液晶カプセル(温度上昇に伴い色調を暖色系から寒色系に変化する直径30μm程度のカプセル)を前房内に注入後、赤外光ビーム(パワー0.2 W、直径7 mm)を曝露し、曝露中の前房内温度分布および大凡の前房内温度を測定した。その結果、感温カプセルの色調変化は虹彩部分で生じ、その熱が房水の対流を発生させ、水晶体等へ輸送されることが明らかとなった。実験1)、2)の結果から赤外線A波曝露による眼障害は眼内の色素(虹彩・毛様体、網膜色素上皮)が赤外線A波を吸収して発熱し、その熱が輻射や対流により熱輸送が行われることより発生することが明らかとなり、水晶体自体が赤外線を吸収するとするVogtの説は否定され、Goldmann説を支持する結果がえられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に購入予定であった赤外線B波曝露装置が東北の震災の影響で部品供給ができなくなり、曝露装置の値段が大幅に上昇したために、価格の安い赤外線C波に曝露波源を変更した。
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今後の研究の推進方策 |
赤外線C波は電波のサブミリ波、テラヘルツ波との境界に属し、高周波の電波は表面に吸収されることが知られている。赤外線C波曝露による眼障害部位の詳細な検討および感温液晶カプセルによる眼内の熱輸送から赤外からミリ波領域での熱による眼障害を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
(次年度の研究費の使用計画)初年度に購入予定であった赤外線B波曝露装置が東北の震災の影響で部品供給ができなくなり、曝露装置の値段が大幅に上昇したために、価格の安い赤外線C波に曝露波源を変更した。H24年度以降に研究費の残高で購入できる赤外線B波の購入が可能な場合には、赤外線B波購入を検討する。価格の点で購入が無理な場合は、赤外線A波と赤外線C波の結果より数学的な数値計算で熱白内障の中心的な原因となる波長を検討する。
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