研究課題/領域番号 |
23510069
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
喜納 克仁 徳島文理大学, 薬学部, 講師 (70360534)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 連続クラスター損傷 / グアニン酸化損傷 |
研究概要 |
本課題の研究目的は、「グアニン連続配列をもつ基質を用いて、活性酸素による酸化反応により、オキサゾロン(Oz)連続クラスター損傷の生成を確認する。このOz連続クラスター損傷について、DNAポリメラーゼによる塩基取り込み解析と伸長効率の解析、塩基除去およびヌクレオチド除去修復反応の解析を行う。さらにOz連続クラスター損傷をプラスミドに組み込み、ほ乳類細胞に形質転換させ、突然変異を解析する。また、4本鎖形成への影響についても解析する。」ことである。そこで、本年は以下のことを実施した。 グアニン連続配列をもつ基質を用いて、活性酸素による酸化反応により、オキサゾロン(Oz)連続クラスター損傷の生成を確認した。しかしながら、連続クラスター損傷の精製・単離はうまくいかなかった。これは、原料として30merDNAを用いたために分離度があまり良くなかったせいであると考えられる。そこで、原料を22merDNAに切り替え、分離度の向上に努めることにした。 なお今後の実験を行う上で、連続クラスター損傷がある程度の量必要であることが分かってきた。そこで、過去に報告されている方法を参考に[Ikedaら. J Am Chem Soc 1999, 121, 10836]、8メトキシグアニン(8meoG)のアミダイトを有機化学合成し、Ozに変化させたいところのみに8メトキシグアニン(8meoG)を埋め込んだDNAオリゴマーを研究室で合成した。8meoGはグアニンよりも酸化されやすく、選択的にOzを生成させることができる。よって、連続クラスター損傷の精製と単離にようやく成功したところである。 同時に、このOz連続クラスター損傷について、DNAポリメラーゼによる塩基取り込み解析と伸長効率の解析をおこなうため、いくつかのヒトDNAポリメラーゼをcDNAから作成しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要でも述べたように、原料として30merDNAを用いたために分離度があまり良くなかったせいで、連続クラスター損傷の精製・単離はうまくいかなかった。幸い、22merに切り替えたことで、精製・単離は達成された。 なお今後の実験を行う上で、連続クラスター損傷がある程度の量必要であることが分かってきたため、受託項合成ではなく、研究室でDNAオリゴマーを合成する必要が生じたため、22merの合成の達成が遅れた。しかし、受託合成を回避できたことで、次年度以降での受託合成に関わる費用を別の消耗品の費用にあてることができることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度達成したOz連続クラスター損傷について、今後は、DNAポリメラーゼによる塩基取り込み解析と伸長効率の解析をおこなう。また、ヒト塩基除去修復反応やヒトヌクレオチド除去修復反応についても解析を行う予定である。これら基礎的データをもとにして、細胞内におけるOz連続クラスターの突然変異への影響についても検討を行う。 さらに、4本鎖中におけるOz連続クラスターの生成についても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後の研究の推進のうち、次年度はDNAポリメラーゼによる塩基取り込み解析と伸長効率の解析および、ヒトヌクレオチド除去修復反応についても解析を行う予定である。具体的には、作成途中のDNAポリメラーゼを作成する。使用する消耗品は酵素を作成するための分子生物学的試薬、反応解析を行うためのRI試薬および解析のためのゲル電気泳動関係の消耗品、原料を追合成するための試薬、および途中経過を学会で発表するための旅費、論文執筆・出版に関わる費用が生じる予定である。
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