研究概要 |
平成25年度は、p53+/-マウスを用いて、8週齢、17週齢、30週齢及び41週齢にて3Gy(0.82Gy/分)をγセルにて照射し、56週齢において屠殺後、脾臓を採取し解析を行った。CDK2, p21, phospho (p)-IKKα, p-IκBα及びp-p65をウエスタンブロット法により解析した。CDK2と p21は、8週齢照射群においてのみ増強していた。8週照射群で、IKKαは強くリン酸化され、これはIκBαがリン酸化されたことによる。またp65のリン酸化もみられている。NF-κBの経路に関するIKKα, IκBα及びp65のリン酸化をPhosphoTracer NF-κB pathway activation assays kitにて解析したが、8週齢照射群において増強していた。Electrophoretic mobility shift assayによってNF-κBの発現を測定したところ、8週齢照射群ではNF-κBの亢進がみられたが、41週齢照射群では対照群レベルであった(Fig 4)。ELISA法にてIL-6を測定したところ、8週齢照射群では発現が有意に増加していた。ATP levelsは、 Cell Titer-Glo luminescent cell viability assay systemにて測定した。メスでは8週齢照射群のみ、オスでは8週齢照射群と17週齢照射群で有意なぞうかをみた。これらの結果から、若年時に被曝すると老齢期においてNF-κBが活性化し、ATP レベルが亢進すると考えられた。NF-κBの亢進は炎症の継続であり、がんの誘発にも関係すると考えられる。NF-κBとATPを検索することは、照射による加齢変化を解析する上で、良い指標となる可能性があると考えられる。
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