研究課題/領域番号 |
23510071
|
研究機関 | (財)放射線影響研究所 |
研究代表者 |
平井 裕子 (財)放射線影響研究所, 遺伝学部, 主任研究員 (90136052)
|
研究分担者 |
児玉 喜明 (財)放射線影響研究所, 遺伝学部, 部長 (60359453)
中村 典 (財)放射線影響研究所, 放射線影響研究所, 主席研究員 (00010116)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | XPA / 保因者 / 創始者変異 / 皮膚がん |
研究概要 |
日本人に高い頻度で存在が報告されているXPA 保因者の皮膚がんのリスクを明らかにするために、XPA 遺伝子の創始者突然変異を簡単なPCR-RFLP 法で検出して、皮膚がん(メラノーマを除く)患者と一般集団におけるXPA 遺伝子の創始者変異の保因者の頻度を比較し、保因者の発がんリスクを評価することを目的としている。効率的に研究を進めるために、皮膚がん試料(1000 症例、メラノーマは除外する)はパラフィン包埋組織を用いることとした(1957 年~2006 年作製保管)。また、対照群の頻度をより正確に求めるために、1970 年代に行われた子どもの染色体調査に用いられたギムザ染色されたリンパ球の塗抹標本500 症例を使用することとした。この標本は研究代表者が所属する放射線影響研究所において保存され、使用が可能である。本年度はスクリーニング用のDNA の準備を行った。約700症例の皮膚がんは各試料から5μmの切片を5枚薄切した。そのうち1枚はヘマトキシリン-エオジン(HE)染色をした。残り4枚中1枚のスライドからDNA抽出を行った。DNA抽出は、リモネン溶液 (Hemo-De, Falma, Tokyo) を用いて脱パラフィンした後、スカルペルで組織を剥ぎ取り、50℃のプロテイナーゼK溶液で一晩処理した後、95℃で10分間加熱し、プロテイナーゼKを失活させ、フェノール抽出を行い、エタノール沈殿法によりDNAを濃縮した。スクリーニング用のDNAは組織のがん部、非がん部を分けることなく、組織全体から抽出した。残りの3枚のスライドは、XPA保因者が確認された後の更なる解析のため、-80℃に保存している。700症例のリンパ球の塗抹標本はスライド1枚から同様にDNA 抽出を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
皮膚がんは1000症例の解析を予定しており、本年度、スクリーニング用のDNAの抽出を完了する予定であったが、700症例の皮膚がんしかDNAの抽出に至らなかった。リンパ球の塗抹標本に関しては、500症例を予定していたが、予定より多く700症例準備ができた。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度準備できなかった皮膚がん300症例の収集、DNAの抽出を行う。DNAが準備できた試料については、スクリーニングを以下の方法で開始する。創始者変異を含むDNA 領域をPCR 法により増幅させる(増幅断片61bp)。増幅DNA 断片の一部を制限酵素AlwN1 あるいはHind III で処理し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分離する。創始者変異がある場合には、増幅DNA 断片(61bp)がAlwN1 処理により25bp と36bp の二つの断片に分断される。PCR で増幅されたDNA が正しくXPA 遺伝子に由来することを確認するために、増幅DNA 断片をHind III で処理する。この場合、XPA 遺伝子由来であれば創始者変異の有無とは関わりなく、38bp と23bp の長さの断片に分断される。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本年度準備できなかった皮膚がん300症例のDNA抽出に必要な試薬、消耗品は準備できている。次年度研究費は、スクリーニングを行うためのPCR 法に必要な試薬、消耗品の購入に使用する。
|