本研究課題は、ヒ素化合物によるヒストン修飾の多様性を明らかにするとともに、その意義の解明を試みたものである。 三価無機ヒ素[iAs(III)]は、ヒストンH3をリン酸化およびメチル化修飾する事を明らかにするとともに、細胞内での局在を調べたところリン酸化修飾はある限られたDNAが巻き付いているヒストンでのみ観察された。さらに検討を進め、iAs(III)によって誘導されるFOS、EGR1などの遺伝子が巻き付いているヒストンが修飾を受けている事が明らかとなり、iAs(III)によるこれらの遺伝子の誘導は、ヒストンが修飾されクロマチン構造が緩んだ部位に転写因子が結合して引き起こされる事が示唆された。
|