研究概要 |
最終年度の研究計画は臭素系難燃剤(デカブロモジフェニルエタン)を含んでいるHIPSからの脱臭素の生成物を特定する予定だった。GC-MSとGC-ECDではエチレングリコール(EG)に溶けている生成物が特定できなかったので、他の方法(1H-NMR、FTIR、HPLC-MS,等)も利用した。臭素は99%程無機物の臭素化物アニオンに変化して、HIPSの臭素含量が0.02%(200mg/kg)になった。HPLC-MSでEG溶液を分析して、色々なジフェニルエタン・ジヒドロフェナントレン・フェナントレン構造の生成物を特定した。残っている臭素基に加えて、大半の臭素基は水酸基で置換し、少量はHで置換した。 脱臭素HIPSはNMRの分析のために色々な溶媒に溶けたときに溶けない分があることがわかった。反応前のHIPSに比べて脱臭素HIPSの溶存成分は違う所がわかっていないが、可溶性成分と不溶性成分の両方はFTIRで強いOHピークが入っているPSのスペクトラムを示す。他の変化があまりわかっていない。ポリマーの部分が不溶性になったことは架橋反応が起こっている可能性を示唆する。 さらさまざまのHIPSの部分がTGAで調べた。難燃剤を含んでいるHIPS、テトラヒドロフランで難燃剤を除けた難燃剤フリーHIPS、脱臭素後のHIPSの温度安定性が比べられた。温度安定性は難燃剤を含んでいるHIPS(344℃で5%減量)<難燃剤フリーHIPS(371℃)<脱臭素のHIPS(392℃)の順で高まった。脱臭素をしないHIPSは残渣があまり残っていないことに対し、脱臭素のHIPSは9%の残渣が残存した。この結果も架橋結合を示す。 脱臭素のHIPSは物質循環修理の可能性である。
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