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2011 年度 実施状況報告書

担体-金属間相互作用を制御した排ガス浄化用貴金属触媒の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23510089
研究機関秋田大学

研究代表者

加藤 純雄  秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50233797)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード環境材料 / 排ガス浄化 / 貴金属触媒
研究概要

パイロクロア型希土類スズ酸化物Ln2Sn2O7(Ln:La,Nd,Y)を担体としたRh触媒の担体組成および調製法が担体上の貴金属の存在状態に及ぼす影響の検討を行った。Ln2Sn2O7は固相反応法および水溶液からの沈殿法により合成した。沈殿法においては7~32m2/gの比表面積を有する酸化物が得られた。含浸法により調製したRh/Ln2Sn2O7触媒におけるRhの化学状態をX線光電子分光分析法(XPS)により評価した。その結果、担体組成および調製条件により触媒上のRhの化学状態が異なり、沈殿法で調製した場合、Rh/Y2Sn2O7では担体焼成温度によらず、Rh3+であったが、Rh/Nd2Sn2O7では、担体焼成温度が1400℃の場合にRh3+に加えて金属Rhとして存在することがわかった。さらに、水素昇温還元法により、Rhの還元特性を検討した結果、Rh/Nd2Sn2O7においては1000℃焼成で調製した比表面積が高い担体を用いた触媒上に、難還元性のRhが存在し、1400℃で調製した低比表面積担体を用いた場合には、200℃以下の低温で還元されるRhのみが存在することが明らかとなった。この結果は貴金属種と担体との接触点における相互作用の程度が担体の比表面積の違いにより変化し、Rhの還元特性に大きく影響することを示しており、担体の比表面積と貴金属担持量をコントロールすることでRhの還元特性を制御できる可能性が示唆された。さらに、担体中の希土類金属イオンを変えることで、Rhの酸化状態が変化することから、担体の結晶構造、イオン間距離がRhとの相互作用に影響することが考えられ、触媒活性を支配する活性種の存在状態を制御するための担体を設計するための知見が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では貴金属の使用量を大幅に削減した排ガス浄化用触媒の開発を目指して、貴金属と担体となる酸化物の親和性の制御により、貴金属の触媒機能の向上と凝集の抑制を行うための指針を得ることを目的としている。本年度はパイロクロア型希土類スズ酸化物を基本物質とした物質の合成を行い、パイロクロア型酸化物担持Rh触媒における担体調製条件とRh還元特性およびNO還元触媒活性の関係について検討を行った。その結果、貴金属種と担体との接触点における相互作用の程度が担体の比表面積の違いにより変化し、Rhの還元特性に大きく影響することを見出した。このことにより担体の比表面積と貴金属担持量がRhの還元特性の制御因子となることが明らかとなり、省貴金属触媒の開発指針を得ることができたため。

今後の研究の推進方策

23年度に得られた成果を踏まえ、パイロクロア型酸化物担体の高比表面積化を企図して、これまでの固相反応法、沈殿法に加えて水熱条件下での合成を検討する。得られた担体を用いた触媒を調製し、NO還元触媒活性評価および活性種等の解析を行う。さらに昨年度と同様に触媒に担持された貴金属種の状態に関する情報を得るための評価を行う。化学状態はX線光電子分光法(XPS)により評価を行うとともに、水素を還元剤とした昇温還元法により担体の酸化物組成と貴金属の還元特性との相関を検討する。分散状態はCO吸着法および透過型電子顕微鏡(TEM)観察により評価し、担体上の貴金属粒子のサイズ、形態と担体との界面領域の構造に関する情報を得る。

次年度の研究費の使用計画

【物品費】水熱合成の検討は23年度に開始する予定であったが、沈殿法による合成条件の検討に予定以上の時間を要したため、水熱合成用圧力容器、加熱・撹拌用器具および試薬類を24年度に購入して実施する。また、触媒活性および昇温還元、昇温脱離特性評価のための装置作製・改良のための配管部品等を購入する。【旅費】研究成果を学会発表するための旅費【その他】昨年度に引き続き触媒上の貴金属の化学状態、粒子形態の評価のためX線光電子分光装置および電子顕微鏡を行うための機器使用料に充当する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] パイロクロア型Nd2Sn2O7担持Rh触媒のNOx還元特性に対する担体物性の影響2011

    • 著者名/発表者名
      本橋輝親, 加藤純雄, 中田真一, 小笠原正剛, 中原祐之輔, 若林誉
    • 学会等名
      平成23年度日本セラミックス協会東北・北海道支部研究発表会
    • 発表場所
      日本大学工学部(郡山市)
    • 年月日
      2011年10月27日

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公開日: 2013-07-10  

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