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2012 年度 実施状況報告書

担体-金属間相互作用を制御した排ガス浄化用貴金属触媒の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23510089
研究機関秋田大学

研究代表者

加藤 純雄  秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50233797)

キーワード排ガス浄化 / 触媒 / 貴金属
研究概要

平成23年度に続き、パイロクロア型希土類スズ酸化物Ln2Sn2O7(Ln:La,Nd,Y)を担体としたRh触媒を調製し、COまたは炭化水素を用いたNO還元反応に対する触媒活性の検討を行った。平成24年度は長時間使用後の触媒のNO還元特性を検討するため、空気中、900℃で25時間aging処理をしたRh/Ln2Sn2O7を用いて活性評価を行った。Fresh触媒において、いずれの組成においても275~300℃でNO転化率が増大し、300℃で最大となった。さらにLn=La, Nd組成において450℃以上の温度域でNO転化率の増大が見られた。また、Fresh触媒に比べAged触媒の場合に、最大NO転化率が約20%低下し、NO転化率が20%に達する温度T20が上昇した。Ln=La,Ndの場合に比べ、Ln=Y組成でT20の上昇が大きくなった。Ln=Ndの最大NO転化率は45%程度であり、他の組成に比べ高いNO転化率を示した。XPS測定の結果より、aging処理によりLn=Yの場合にLn=La, Ndに比べ表面のRh量が減少していることが示唆された。以上の結果からパイロクロア酸化物における希土類イオンがRhの酸化物中への移動を制御する因子であることを明らかにした。
また、Ln2Sn2O7と同様に希土類および+4価金属イオンを含む酸化物であるアパタイト型ケイ酸塩La9ASi6O26(A=Li,Na,K)を担体としたPt触媒のNO還元特性について検討を行った。C3H6を用いたNO還元反応に対してはA=Naが、C3H6酸化反応に対してはA=Kの場合に活性が高くなることを見出し、アパタイト型ケイ酸塩触媒では担体の塩基特性が炭化水素が含まれる反応に対する活性に影響することを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では貴金属の使用量を大幅に削減した排ガス浄化用触媒の開発を目指して、貴金属と担体となる酸化物の親和性の制御により、貴金属の触媒機能の向上と凝集の抑制を行うための指針を得ることを目的としている。本年度はパイロクロア型希土類スズ酸化物およびアパタイト型ケイ酸塩を基本物質とした物質の合成を行い、パイロクロア型酸化物担持Rh触媒とアパタイト型ケイ酸塩担持Pt触媒における担体組成とNO還元触媒活性の関係について検討を行った。その結果、パイロクロア型酸化物触媒においては、希土類金属イオンがNO還元特性と触媒の耐久性に影響することを見出した。またアパタイト型ケイ酸塩触媒では担体の塩基特性が炭化水素を還元剤としたときのNO還元特性に影響することを示す結果を得た。これらの結果から、担体組成特にパイロクロア型酸化物におけるLnサイトがRhとの相互作用に関わること、アパタイト型ケイ酸塩における担体の塩基特性による反応基質との相互作用が活性向上の鍵となることを見出したため。

今後の研究の推進方策

平成23-24年度に得られた成果を踏まえ、パイロクロア型酸化物担体の組成について、Snサイトの影響を検討する。Snサイトを+4価イオンとなるZrなどで置換した担体を用いた触媒を調製し、NO還元触媒活性評価および活性種等の解析を行う。さらに昨年度と同様に触媒に担持された貴金属種の状態に関する情報を得るための評価を行う。化学状態はX線光電子分光法(XPS)により評価を行うとともに、水素を還元剤とした昇温還元法により担体の酸化物組成と貴金属の還元特性との相関を検討する。分散状態はCO吸着法および透過型電子顕微鏡(TEM)観察により評価し、担体上の貴金属粒子のサイズ、形態に関する情報を得る。
また、結晶構造の異なる酸化物における検討として、引き続きアパタイト型化合物について担体組成と貴金属の化学状態等との関係について検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Preparation and NO reduction property of apatite-type ALa9Si6O26 (A = Li, Na, K) supported Pt catalyst2013

    • 著者名/発表者名
      Atsunori ONO, Sumio KATO, Tatsuya NARUMI, Yuji ADACHI, Masataka OGASAWARA, Takashi WAKABAYASHI, Yuunosuke NAKAHARA, Shinichi NAKATA
    • 雑誌名

      Journal of the Ceramic Society of Japan

      巻: 121 ページ: 169-175

    • DOI

      doi:10.2109/jcersj2.121.169

    • 査読あり
  • [学会発表] パイロクロア型Ln2Sn2O7 (Ln=Nd,Y)担持貴金属触媒の調製とNO還元特性2012

    • 著者名/発表者名
      加藤純雄・本橋輝親・小笠原正剛・中田真一
    • 学会等名
      平成24年度化学系学協会東北大会
    • 発表場所
      秋田大学
    • 年月日
      20120915-20120916
  • [学会発表] アパタイト型ケイ酸塩担持Pt触媒の調製とC3H6燃焼触媒活性2012

    • 著者名/発表者名
      小野富雅, 加藤純雄, 小笠原正剛, 中田真一
    • 学会等名
      平成24年度化学系学協会東北大会
    • 発表場所
      秋田大学
    • 年月日
      20120915-20120916

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公開日: 2014-07-24  

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