• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

高分子ゲル複合QCMを用いた簡易砒素モニタリングシステムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23510092
研究機関東洋大学

研究代表者

清田 佳美  東洋大学, 経済学部, 教授 (60216504)

研究分担者 鈴木 孝弘  東洋大学, 経済学部, 教授 (30192131)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードQCM / ハイドロゲル / 発振周波数 / 低温観測 / アフィニティー
研究概要

0度以下の低温溶媒中におけるゲルのQCM応答を観測可能なペルチェ素子を用いた小型温調セルを新たに開発し、本セルを用いて発振周波数の異なる種々のQCM(2,3,5,8,9MHz)の基本応答特性(既存の粘性液体を用いて粘弾性シグナルを取得)データを取得した。これにより発振周波数に依存して、粘性および弾性変化に対する感度が大きく変わる事および弾性と粘性パラメータの相関性(QCMの周波数依存性)を確認した。同様に、両親媒性のハイドロゲルを被覆した電極を作製し(各発振周波数のQCM電極を用いている)、種々の温度条件で水中の発振挙動を観察した。その結果、高周波の電極では見られなかった観測結果が得られ、収縮相に於ける粘弾性挙動の周波数依存性が認められた。発振周波数が3MHzのQCMでは、収縮相のハイドロゲルの脱水和とともに振動数が増加する傾向が見られた。低振動数のQCMに於ける周波数依存性の理由について、電極材質や電極とゲルの接触状況を考慮した考察が必要であることから、電極接着界面の状況を電気化学的手法で評価すべく、E-QCMの作製を行った。QCM電極を作用極として、0度付近から60度程度までの温度範囲でサイクリックボルタングラムを取得可能なシステムを構築した(データ取得は次年度)。文献データベースおよび学術研究発表会における最新情報収集により、無機材料とQCMの複合化においてハイドロゲルを用いた抱括固定が可能である事を見いだした。特にナノサイズ化した無機粒子の固定材として有用である事を見いだした。QCMの耐負荷容量は大きくないため、今後、複合化の可否について検討が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初、交付金額の減額の可能性がある事もあって、補助のアルバイトの起用を取りやめ、研究代表者自身で大方の研究計画内容を遂行する方針変更を行ったが、当初の計画どおり概ね順調に進行している。今年度は特に低温領域で測定可能な小型測定セルを新たに開発した事、電気化学的界面測定が可能なシステムを構築したこともあり、次年度に向けて計画以上に前進している。

今後の研究の推進方策

前年度に検証した吸着材を用いてゲル複合QCMを作製し、ゲル複合QCMの応答特性に及ぼす環境条件、ターゲット条件の影響データを体系的に取得しモニタリングデバイスとしての性能評価を行うとともに、QCM応答特性とその動力学について解析しつつ、デバイスとしての最適化を図る。QCM応答特性、砒素吸着特性の取得データを考察し、ゲルに導入する相互作用サイトの選定にフィードバックする。データのパターン解析方法を確立し、高S/N分析できるように改良する。

次年度の研究費の使用計画

今年度、交付金額の3割削減の可能性があったため当初予定していた国際会議への参加登録を取りやめたこと、および、補助のアルバイトの起用を取りやめたことが主な理由で繰越金が発生した。次年度は、申請時に研究計画として設定した内容についておおむね計画(計画書に記載の検討項目:QCM動作ダイナミクスの解析、デバイス最適化、データ解析手法の検討)通りに使用する予定であるが、今年度、ハイドロゲルのネットワークを利用したナノ化無機粒子のQCM上固定の可能性が認められたので、無機微粒子系吸着剤のQCM複合化の可否の確認およびQCMの負荷許容レベルを確認する課題を新たに追加して、その遂行(QCM電極などの消耗品)に繰越した研究費を使用する。また、今年度、国内学会で発表した成果をあわせて海外での成果発表を増やし、その費用に充当する計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 層状複水酸化物の界面活性剤吸着特性および乳化ゲル体の構造安定性2012

    • 著者名/発表者名
      清田佳美
    • 雑誌名

      東洋大学紀要 自然科学編

      巻: 56号 ページ: 43-52

  • [雑誌論文] Actuation Dynamics of Polymer Hydrogel in Electric Field2012

    • 著者名/発表者名
      Y.Seida
    • 雑誌名

      東洋大学紀要 自然科学編

      巻: 56号 ページ: 53-64

  • [学会発表] Local Viscoelastic Behavior of Hydrogel in Its Collapse Phase - The Influence of Intrinsic Oscillation Frequency of Probe QCM on The Observed Viscoelasticity-2011

    • 著者名/発表者名
      Y. Seida & T.Suzuki
    • 学会等名
      MRS-Japan
    • 発表場所
      The 21st MRS-Japan Academic Symposium(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2011年12月21日

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi