研究課題/領域番号 |
23510092
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
清田 佳美 東洋大学, 経済学部, 教授 (60216504)
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研究分担者 |
鈴木 孝弘 東洋大学, 経済学部, 教授 (30192131)
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キーワード | QCM / ハイドロゲル / クライオ測定 / 吸着 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、刺激応答型ゲルを被覆したQCM電極を用いて種々の相条件におけるゲルの局所粘弾性データを取得した。今年度はネットワークアナライザを新たに導入したことによって、高負荷時においても安定的に発振するQCMシステムを構築した。これによりS/Nの良いQCM-Aデータ取得がきわめて容易になったうえ(基本的に発振停止の事態をを避けることが出来るように改善された)、アドミッタンスプロットに基づく詳細な現象解析が可能となった。同時に、従来、独立して弾性パラメータ(質量負荷データ)を取得することが困難であった点について、詳細なアドミッタンス解析により、粘性影響をキャンセルした弾性パラメータ測定手法を検討した。N-isopropylacrylamideゲルについて粘性と弾性パラメータを独立に取得したところ、従来の相挙動の解釈よりもより適切な相挙動の解釈が出来た。これらの一連の検討から、QCMを用いたゲル体挙動の分析における問題点とこれを回避する手法を開発した。ヒ素・重金属とアフィニティーのある吸着材微粒子を内包したゲルをQCM上で合成した。重金属を用いて吸着実験を行ったところ、微粒子を内包したゲルの場合、微粒子に起因する粘弾性影響があることが示唆された。このことはクライオ条件で粘弾性挙動を観測することによりより顕著であった。今後、これらの原因について検討し、吸着応答性の高いQCMセンサの絞り込みを行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はデバイスの最適化を主目的にしている。ネットワークアナライザの導入により、安定なデータ取得が可能となり、QCMに複合する材料の特性評価の信頼性が格段に向上した。また、粘弾性データをそれぞれ粘性と弾性項を独立に観測する手法を構築したことにより、より詳細なゲルの相挙動観察ができるようになった。クライオ条件におけるQCM測定も初めて実現し、凍結したゲル体の吸着データ、相挙動データを取得可能とした。
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今後の研究の推進方策 |
計画を踏まえ、ターゲットの吸着データを取得する。データ取得手法の構築及び最適化を進める。一方、依然、ゲル体と電極との接着状態は得られる粘弾性データに大きく影響することが判明した。種々の接着条件でデータを蓄積し、より最適な複合条件を探索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画で設定した内容についておおむね計画通りに使用する予定である。
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