研究概要 |
今年度は、パーオキシダーゼによる塩素化エチレン分解の基礎研究を行った。 ○塩素化エチレン類として、PCE, TCE, cDCE, VCを用いた。 ○パーオキシダーゼは市販のホースラディッシュ(TOYOBO, PEO-301)を用いた。方法:25ml容バイアル瓶に各塩素化エチレン類を所定濃度入れ、過酸化水素水とパーオキシダーゼを入れ、分解反応を行った。バイアル瓶中のヘッドスペースガス中の塩素化エチレン類をガスクロマトグラフで測定し、経時的な減少を追跡した。コントロールとしてフェントン反応と0価鉄粉を用いた。 酵素反応条件として全体量を5 mlとし、リン酸緩衝液 4 ml、過酸化水素 1.4 mM、パーオキシダーゼ 14.1 U/ml、塩素化エチレンとしてPCE 0.0305 mM, TCE 0.0385 mM, cDCE 0.0521 mM, VC 0.161 mMのいずれかを添加した。30℃で1晩反応させたが、ほとんど分解反応は生じなかった。初発塩素化エチレン濃度や酵素量を変化させたが、顕著な変化は見られなかった。パーオキシダーゼの活性が懸念されたので、ピロガロールやフェノールなどの芳香族化合物での分解を試した。その結果、分解反応は生じた。そこで、可逆反応が生じることも想定してメディエーターの使用を検討している。なお、0価鉄粉では、使用した塩素化エチレンどれでも還元分解して最終分解産物であるエチレンが生じたが、分解に日単位以上の時間が必要であった。フェントン反応では分解が生じた。
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