研究概要 |
Sn-0, 1, 9, 20, 50, 80, 100mass%Zn合金の7種を原材料より溶製し、銅導線径3.2mm(64A用)低圧配線用のヒューズ合金として、電気・熱特性を温度と組成、さらに組織形態の関数として表現した。その結果、最適組成をSn-9ZnおよびSn-50Znとした。特にSn-50Znについてはアルミナ粒子を8vol%添加して、相反するヒューズの溶断・通電性能を満足することを意図した。本金属基複合材料はSn-50Zn母材とアルミナの比重差による組織不均一を解消させる為、固液共存温度領域(603K程度)で溶湯撹拌により、初晶デンドラートアームにアルミナをトラップさせて、均質組織の複合材料を得た。アルミナを添加することで、288-460Kの温度領域で、電気比抵抗と比熱はそれぞれ13.8-23.1μΩcmと0.329-0.363J/(gK)に上昇し、熱伝導率と密度はそれぞれ84.6-76.4W/(mK)と6.81-6.77g/ccへと減少した。これらの電気・熱物性値はMaxwell提唱の複合側で近似が可能であった。以上より、ヒューズの溶断・通電性能を左右する電気抵抗と温度拡散率は、アルミナの体積率と母相の組織形態で制御可能であることが判った。さらに、これらの電気・熱物性値を温度と組成の関数として定式化し、電気-熱連成解析プログラムに組み込んだ。その結果、Sn-50Znに8vol%アルミナを添加した開発複合材料は、ヒューズ性能の溶断・通電特性の双方を満足していると推定できた。
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