研究課題/領域番号 |
23510099
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
宮武 宗利 宮崎大学, 工学部, 助教 (40315354)
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キーワード | 環境技術 / 応用微生物 / 酵素工学 / ヒ素の無毒化 / アルセノベタイン |
研究概要 |
本研究では微生物の機能を利用した無機ヒ素をアルセノベタインに変換するヒ素無毒化システムの構築を目的として、申請者が土壌より分離したヒ素メチル化細菌のアルセノベタイン産生機構の解明と変換効率の向上を研究している。 前年度までに、ヒ素メチル化細菌の反応に関与している酵素の調製条件と酵素学的特性を明らかにした。今年度は抽出した酵素について、酵素を単一になるまで精製し遺伝子学的実験を行なう予定であったが、精製過程での活性の消失により単一の精製酵素を得ることが出来なかった。そのため、N末端や内部アミノ酸の配列を決定することが出来なかった。そこで、アルセノベタインの産生に関与している酵素としてヒ素メチル基転移酵素(arsM)に注目し、NCBIのデータベースからarsMのアミノ酸配列を集めアライメントをとって、その共通配列からプライマーを作製し、ヒ素メチル化細菌から調製した染色体DNAを鋳型としてPCRでDNAの部分配列を得ることが出来た。今後得られたDNA部分配列から新たにプライマーを再度設計し、DNA部分配列の上流・下流の未知配列をクローニングし、シークエンスすることによって本菌株のarsMのORFを同定する。 新たに分離したヒ素メチル化細菌の酵素学的特性を検討した結果、これまで申請者が保持した細菌と同程度のアルセノベタインの産生を確認することができ、それらの菌株の同定試験を行った。今後上記と同様の方法で遺伝子学実験を行い、arsMのクローニングとORFの同定を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は抽出した酵素について、酵素を単一になるまで精製し遺伝子学的実験を行なう予定であったが、精製過程での活性の消失により単一の精製酵素を得ることが出来なかった。そのため、N末端や内部アミノ酸を決定することが出来なかった。そこで、アルセノベタインの産生に関与している酵素としてヒ素メチル基転移酵素(arsM)に注目し、NCBIのデータベースからarsMのアミノ酸配列を集めアライメントをとって、その共通配列からプライマーを作製し、ヒ素メチル化細菌から調製した染色体DNAを鋳型としてPCRでDNAの部分配列を得ることが出来た。しかし、本菌株のarsMのORFの全塩基配列を決定することが出来ておらず、組み換え体での酵素の大量生産も出来ていない。
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今後の研究の推進方策 |
得られたDNA部分配列から新たにプライマーを再度設計し、DNA部分配列の上流・下流の未知配列をクローニングし、シークエンスすることによって本菌株のarsMのORFを同定する。得られた組み換え体を使って、酵素の大量生産を行う。さらに得られた酵素を担体に固定化して、無機ヒ素からアルセノベタインの連続変換を行う。 新たに分離したヒ素メチル化細菌の酵素学的特性を検討した結果、これまで申請者が保持した細菌と同程度のアルセノベタインの産生を確認することが出来たため、今後上記と同様の方法で遺伝子学実験を行い、arsMのクローニングとORFの同定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する予定の研究費については、平成24年度から継続して行う遺伝子学実験に使用する。翌年度に請求する研究費については、当初の計画したとおり酵素の固定化実験に使用する。
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