研究概要 |
5,000ppm以上の高濃度アンモニア態窒素(NH4-N)を含む工業排水を、固定化細菌(群)により酸化してNO2-のみを選択的に生成させる前段の生物処理と、生成したNO2-と未反応NH4+とを触媒の存在下、窒素ガスに変換する後段の水熱処理の併用で、NH4-N含有排水を無害化除去(完全消滅除去)するための新技術の開発が本研究の目的である。 [生物処理] pH・温度制御装置、溶存酸素(DO)計の備わった容量4Lの気泡塔リアクターに10wt%の固定化生体触媒と初濃度5,000ppmのNH4-N成分を含むモデル排水を添加し、回分式で運転した。実用的なNH4+酸化速度(目標値160 ppm/d 以上)が再現性よく達成できる最適条件は、pH:7.7~7.8程度、処理温度:25℃程度、DO:8.9ppm程度、と大凡確認できた。遺伝子解析の結果、NH4+を酸化してNO2-を生成する亜硝酸菌Nitrosomonas eutropha C91、およびNO3-を還元してNO2-を生成する硝酸還元酵素をもつ細菌Methylobacterium extorquens DM4の近縁菌が含まれていることが確認できた。従って、NO2-はNO3-に酸化されるが、M. extorques DM4近縁菌によってNO3-がNO2-に還元される反応が亜硝酸菌群の一部の作用として起り、結果的にNO3-を生成しないものと考えられる。 [水熱処理] 完全分解反応(NH4+ + NO2- → N2 + 2H2O)による窒素除去を検討するため回分式亜臨界装置の設計し、これを製作した。無触媒、モル比N4H-N:NO2-N=1:1、反応時間1h、で亜臨界水熱反応を行った。反応温度160~200℃の場合、初期濃度1,500、3,000、5,000ppmにおいて除去率は90%以上。140℃の場合、5,000ppmに限って除去率が90%以上に到達した。
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