研究課題/領域番号 |
23510109
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研究機関 | 高知工業高等専門学校 |
研究代表者 |
山崎 慎一 高知工業高等専門学校, 環境都市デザイン工学科, 准教授 (60290821)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 省エネルギー / 廃水処理 / オゾン / UASB / DHS |
研究概要 |
本研究の目的は、小規模事業場における排水処理対策の推進を目指して、その処理過程で排出され、処理・処分で問題となるグリストラップ油脂排水を省エネかつ効率的に処理し、また、メタンエネルギーとして再資源化する新規な排水処理システムを開発することである。具体的には、生物難分解性の油脂成分をオゾンで前処理をして高級脂肪酸の毒性を軽減させた後、省エネ型嫌気好気法(UASB-DHS法)で後処理を行い、その有機成分からメタンエネルギーを効率的に回収する方法を実験的に検討する。この研究の成果は、公共用水域の水質改善、地球温暖化の防止対策、省資源・省エネルギーの推進、廃棄物処分問題の解消に大いに貢献するものであり、技術的・社会的な意義は非常に高い。しかし、この油脂排水の処理にはオゾン処理が注目されているが、その分解メカニズムや最適な供給条件に不明な点が多い。そこで、平成23年度は高知工業高等専門学校学生寮の食堂厨房施設のグリストラップ内から採取した油脂排水にオゾン含有空気を供給して、排水中の有機成分、固形成分、油脂成分や臭気が時間的にどのように変化するのか、また、どのようなオゾンの供給条件が油脂分解に効果的なのかを回分実験で検討した。その結果、固形物の少ない油脂排水において、所定の排水量に対するオゾン供給量で回分実験を行うと、排水中の固形成分、油脂成分の濃度と臭気の減少、脱色に対してオゾン供給効果を確認することができた。また、この得られたオゾン最適供給条件を用いて2槽式UASB-DHS法の室内実験装置によって油脂排水の連続処理も行った。その結果、高濃度の油脂成分はUASB槽の処理性能を低下させること、また油脂排水をオゾンで前処理することで油脂の阻害影響が軽減できる可能性があることを確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請における研究目的は、省エネ・省資源型で廃棄物が低減できるオゾン-UASB-DHS法を提案し、グリストラップ油脂排水をメタンエネルギーとして再資源化する新規な生物学的処理システムを開発することである。高知工業高等専門学校学生食堂の厨房施設から排出するグリストラップ油脂排水を用いて、平成23年度はオゾンの油脂分解機構の解明を目的として回分実験を行うことが目的である。実験装置において、オゾン発生装置、反応タンク、流量計、ガス中のオゾン濃度や液中のn-ヘキサン抽出物質などの分析については早期に準備を整えることができ、オゾン供給条件に対する油脂の時間的濃度変化の様子を観察する回分実験を行った。しかし、油脂に含まれる各種高級脂肪酸の分析については、新規に購入するガスクロマトグラフィーとそのカラムの選定に時間を要したため、油脂の生物分解に及ぼす高級脂肪酸の影響を検討するところまでは至らなかった。23年度末にガスクロマトグラフィーの分析準備が整ったため、24年度からこの点について検討を始める予定である。また、この回分実験の結果を受けて、24年度から実施予定であったオゾン-UASB-DHSの室内実験装置を使用した連続実験による処理適用可能性の検討を23年度後期から開始することができた。高濃度の油脂成分はUASB槽の処理性能を低下させるが、オゾンで前処理することで油脂の阻害影響が軽減できる可能性があることを確認できた。24年度もこの連続実験を継続して、処理水質や槽内汚泥保持の長期安定性、メタン生成量や汚泥発生量の把握などを行う予定である。現在までの達成度としては、油脂中の高級脂肪酸の影響評価の検討は遅れているが、連続実験による処理性能の評価は早期に開始できたことで、研究の進捗としてはおおむね順調に進行していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降は、油脂の生物分解に及ぼす高級脂肪酸の影響を検討する回分実験を継続する。そして、室内実験装置を用いた連続実験において、処理水質や槽内汚泥保持の長期安定性、メタン生成量や汚泥発生量の把握などを行い、処理適用可能性の検討を行う。次いで、油脂成分濃度や負荷の変動が処理性能に及ぼす影響、処理温度や原水pHの調整、DHS槽での処理水循環の有無など、より安定的で効率的な運転方法や経済性の検討を行い、従来技術との比較による本システムの油脂汚泥処理への適用の実用性を総合的に評価していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費は直接経費で100万円であり、設備備品として連続実験装置の計装類(pH及びORPの指示調節計)の追加購入に50万円、消耗品として水質分析試薬やガラス器具などで30万円、旅費として研究打ち合わせと成果発表に20万円を使用する予定である。なお、23年度の未使用分92140円は、24年度に消耗品又は旅費として使用する予定である。
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