研究概要 |
架橋高分子は、線状高分子鎖を架橋することにより熱的特性、化学的特性、機械的特性などの諸特性が向上するために優れた材料特性を示す。しかし、廃棄する際にはその架橋部位が安定に存在するためにリサイクル等が困難になっている。そこで、本研究では、可視光や圧力などの外部刺激に応答して共有結合が切断される2,4,5-トリフェニルイミダゾールダイマー骨格に着目し、この骨格を架橋部位に導入した架橋高分子の合成を検討した。 2,4,5-トリフェニルイミダゾールダイマー骨格を有するアクリル系モノマーを合成し、ラジカル単独重合および当該モノマーとメチルメタクリレート(MMA)とのラジカル共重合挙動を検討した。その結果、対応するポリマーを良好な収率で得ることができる条件を見出すことに成功した。さらに、これらの重合反応によってMw/Mn=1..86~4.90と比較的分子量分布の広いポリマーが得られることも明らかとなった。また、当該モノマーについてMayo-Lewis法によりQ-e値を算出したところ、Q=1.071, e=1.175であり、非常に多くの種類のビニルモノマーとラジカル共重合が可能であることに加え、潜在的にアニオン重合性も有することが明らかになった。 ラジカル重合によって得られたポリマーを、水酸化カリウム存在下、フェリシアン化カリウムを用いて穏和な条件で反応させることにより比較的良好な収率で架橋ポリマーが生成することが明らかになった。さらに得られた架橋体は、クロロホルム中で可視光を照射することにより、架橋点が切断され、対応する解架橋体を生成することが明らかになった。また、架橋体を、乳鉢を用いて加圧した場合でも架橋点が切断され、対応する解架橋体を生成することを明らかにした。
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