研究課題/領域番号 |
23510118
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
富岡 明宏 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (10211400)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | メゾスコピック構造 / 準安定 / 溶液プロセス / 脱濡れ過程 / 液相レーザーアブレーション |
研究概要 |
これまでの研究で、π共役分子を用いて自己組織的会合体を形成させる手法を開発し、溶媒の蒸発に伴う急速な分子集積を利用する脱濡れ法により準安定な会合体を作製できること、特にローダミン類縁色素会合体では例外的に高い発光性が達成できることを明らかにしてきた。今年度は、この高発光性がどのような分子間相互作用によるものかを明らかにするため、基板表面電荷との相互作用に注目して、分子環境を考察する研究を行った。 また、可視光レーザでπ共役分子を共鳴励起し、やはり急激な溶媒の蒸発を起こさせて不溶溶媒中での急速な分子集積を起こさせ、新規な分子状態を探索する溶液レーザプロセシング法を提案・開発した。紫外レーザを用いる従来のレーザプロセシング法では、化学結合が切断、分子が破壊され、有機材料の機能が失われるため、有機分子材料に適用することは困難である。不溶溶媒中に懸濁した、有機分子材料溶液の微小液滴をレーザ照射ターゲットとする溶液レーザプロセシング法は、熱的過程でありながら分子破壊を抑制し、同時に物理状態を転移させる可能性を持つ新材料開発の強力な手法となり得る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脱濡れ法により高発光性の会合体を作製する研究では、Si基板表面の親水性を決定する表面SiO2層の厚さを変化させ、親水性の変化と、脱濡れ過程により生成するローダミン色素会合体の発光性との関係を調査した。SiO2層のわずかな厚さ変化の効果を有意に検証するためには、脱濡れ過程を表面で均一に起こさせる必要がある。この目的のため、Si基板上に透明高分子ポリスチレンのスペーサー層を2列作製し、スペーサー層で規定される厚さのローダミン色素溶液の薄層を形成した。この改良により、広範囲にサイズの揃ったローダミン溶液微小液滴が形成され、これらからサイズの揃ったローダミン色素会合体が生成し、SiO2層厚さ変化の効果を有意に検証することができた。表面SiO2層の厚さが30nm以上の場合には、これまでのガラス基板の場合と同様発光性の高い会合体が生成したのに対し、SiO2自然酸化膜(厚さ2nm程度)の場合には消光状態となった。薄いSiO2層上では表面エネルギーが低下し、あたかも基板が疎水性になったかのように振る舞うことが消光の原因である、という仮説だけでは説明できないことが表面エネルギー測定の結果判った。また、Si基板へのエネルギー移動モデルでも消光の1/3程度しか説明できなかった。異なる性質の色素会合体が成長している、との我々の仮説が半ば証明できたので達成度は高い。 溶液レーザプロセシング法は、開発したばかりだが、有機高分子MEHPPVの化学的破壊を抑制しつつ、共鳴光励起による分子振動の誘導により高分子の物理的状態変化を引き起こすことに成功したので、予想以上の進展が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
脱濡れ法により高発光性の会合体を作製する研究では、表面SiO2層のわずかな厚さ変化が生成する会合体の高発光性を変化させる消光のメカニズムを精査したい。またSi基板表面の特定領域に(自然酸化膜以上の厚さの)SiO2層をパターニングし、その領域のみに高発光性会合体を形成させる試みにも挑戦したい。 溶液レーザプロセシングに関しては、今後生成するMEHPPVナノ微粒子のHOMOレベル、LUMOレベルのエネルギー変化を測定したい。フレンケル励起子系では量子サイズ効果は起こらないはずだから、初期溶液濃度を変えてナノ微粒子サイズ(現在得られているのは200nm径)を変化させたとき、HOMOレベル、LUMOレベルのエネルギーが変化しないことも確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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