研究課題
貧溶媒中での液滴レーザアブレーションにより、色素高分子のナノ微粒子(直径50nm~500nm)を作製することに成功した。凝集なく、液中に単分散させることができたので、超薄型ディスプレイ応用などに向けて印刷法で画素を描くための「マテリアル・インク」として利用可能である。微粒子直径は初段処理である超音波懸濁の際の、超音波の強さを変えることにより変えられ、直径50nm~500nmの範囲で再現性良く、自由に選択して作製できる技術も確立した。側鎖のないポリフルオレンでは電子準位に変化がなかったが、MEHPPV高分子の場合には液滴レーザアブレーション処理により、光吸収・発光とも短波長化した。これらの変化量は微粒子直径には依存せず、可視光による強励起の際分子振動が誘起され、柔軟な極性側鎖の折れたたまり方が変化して主鎖のπ電子にかかる局所場が変化したため、というモデルで説明した。従来のレーザアブレーション法では紫外光により一旦材料を原子クラスターに分解するが、分子構造を破壊すると機能が回復しない有機材料にはこの手法は適用できない。可視光を用いて共鳴励起した色素高分子主鎖の分子振動により(活性を維持したまま)物理的な相転移を起こさせることに成功した意義は大きい。脱濡れ法を用いて作製した色素微粒子配列については、Rayleigh-Plateau不安定性を利用するので基板上での微粒子位置はランダムに近い。だが、微粒子間隔と微粒子サイズはよく揃っており、ランダムドット・パターンの複数微粒子を光源として利用する新しいタイプの超薄型ディスプレイ応用が提案できる。
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Proc. of the 9th IEEE International Conference on Nano/Micro Engineered and Molecular Systems
巻: ISBN 978-1-4799-4727-0 ページ: 660-663