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2012 年度 実施状況報告書

硬X線ナノ集光用全反射型ゾーンプレートの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23510121
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

高野 秀和  兵庫県立大学, 物質理学研究科, 助教 (50366548)

キーワードX線集光 / ゾーンプレート / ナノビーム / X線顕微鏡
研究概要

本研究は、硬X線領域における新しい集光素子である、全反射ゾーンプレートの開発を目標としている。従来に比べて高い効率、小さいサイズのX線2次元集光を実現する。当該年度では、前年度に作製した1次元ラミナー型全反射ゾーンプレートのを用いた評価、1次元、2次元集光の評価の他、単素子での2次元集光素子についての検討を進めた。
1次元ラミナー型全反射ゾーンプレートについて、10 keVに単色化した放射光X線を用い、集光性能を評価した。集光効率は15%程度であり、設計値(25%程度)に対して低い結果となったが、従来に比べて倍以上の集光効率を達成した。また、集光サイズについては、作製した全ての素子について20 nm-30 nm程度であり、目標である5 nmには到達していない。ただし、長いゾーンを持つ素子における集光サイズの低下は見られなかったため、従来の素子において問題であった基板による問題は解決できた。
直交直列配置による2次元集光についても同様に評価を行った。アライメント調整が非常に難しく、ナイフエッジ走査による集光サイズでは200 nm-300 nmという結果であったが、テストチャートの拡大ホログラムを用いたアライメント調整法を採用することで、100 nm以下の集光サイズが得られている結果が示唆された。
単素子2次元集光全反射ゾーンプレートの開発においては、円錐基板型について、作製誤差とアライメント誤差についての計算を行なった結果、曲率半径とゾーンパターンのずれをアライメントで補正できることが分かった。また、プロトタイプ素子として、円筒基板を用いた素子の作製を進めている。ゾーン描画に利用する硬X線集光ビームリソグラフィ法について検討を行い、PMMAレジストを使用した場合の露光条件、現像条件の設定を完了した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1次元ラミナー型全反射ゾーンプレートについては、集光サイズ、集光効率ともに目標を下回る性能となっている。この原因については、ラミナー格子における斜入射条件でのゾーン透過による位相変化の影響と考えており、根本的な対処が必要である。また、直交直列配置による2次元集光でも目標には達していないが、アライメントの問題を解決することで、目標である20 nmに近い2次元集光は達成できると考えている。
単素子2次元集光全反射ゾーンプレートの開発においては、目標仕様の設計は完了しており、アライメント等、実使用におけるシミュレーションもある程度終了している。作製については、円筒基板を使用したプロトタイプについて検討を進めており、近い将来プロセスに移行できると考えている。
以上より、研究計画全体としての進捗状況としては概ね良好であると判断する。

今後の研究の推進方策

次年度では、主に直交直列配置での2次元集光性能評価および、単素子のプロトタイプ開発を中心に行う。
直交直列配置での2次元集光では、迅速で確実なアライメント方法を確立し、最終目標である20 nmサイズの2次元集光ビームの実現を目指す。また、円筒基板に細線を描画したプロトタイプ素子の作製を行い、設計機能の評価を行うことを目標とする。さらに、集光パターンの描画および、短曲率円錐基板の作製についての検討も進める。
ラミナー型全反射ゾーンについて、ゾーン内での位相変化を考慮した設計について再考する。さらに、ラミナー型の他、ブレーズド型、キノフォルム型の応用について、計算による検討を進める。

次年度の研究費の使用計画

次年度における研究費は、単素子のプロトタイプ開発のための経費が主となる。円筒基板作製費用、およびプロトタイプ素子のプロセス費用について計上を行う。1次元ラミナー型全反射ゾーンプレートについては直交直列配置による2次元集光評価実験用の冶具について計上する。また、論文投稿、学会発表に必要な経費、旅費についても計上する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Design of Point Focusing Total-Reflection Zone Plate2012

    • 著者名/発表者名
      Takuya Tsuji, Hidekazu Takano, Yoshiyuki Tsusaka, and Yasushi Kagoshima
    • 学会等名
      11th International Conference on X-ray Microscopy
    • 発表場所
      Shanghai, China
    • 年月日
      20120805-20120810

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公開日: 2014-07-24  

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