超好熱性古細菌由来マルチ銅オキシダーゼ(McoP)をカソード触媒、同じ由来のPQQ依存性グルコース脱水素(PQQ-GDH)をアノード触媒として用いて電極を作製し、長期安定性に優れたバイオ電池の構築を目指した。さらに、アノードでは分子配向性を制御して酵素を固定化し、カソードではナノ材料であるカーボンナノチューブ(CNT)を固定化に用いることでより出力の高いバイオ電池の構築を試みた。まず精製McoPを用いてバイオ燃料電池のためのバイオカソードの構築を電極材料としてCNTを用いて試みた。CNTはABTSを用いることで分散することができ、これらを電極材料として用いた際、CNTを用いなかった電極と比較して酸素の還元に基づく電流値は増大し、このことからCNTが酵素と電極間の電子伝達を効率化していることがわかった。次にバイオアノード電極の構築のためにN末端にHis-Tagを導入したPQQ-GDHの精製を行った。酵素を配向性を持たせて固定化するために電極表面に銅を電析させ、Cu-His-tagのアフィニティを利用した酵素配向固定化を行った。本電極の酵素反応によるグルコース酸化に伴うPQQの酸化波の増大を確認された。この方法で電極上に酵素を固定化したものをバイオアノード電極とした。 それぞれ作製した電極を組み合わせて電池を構成し、電池性能を評価した結果11 microW/cm2の出力を得た。比較としてアノード、カソードそれぞれの酵素をランダムに固定化した電極を組み合わせ、電池の評価を行ったところ0.5 microW/cm2であった。このことから分子配向性を制御した電極で構成した電池の方がランダムに固定化した電極で構成した電池よりも高い出力を得ることがわかった。
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