研究課題/領域番号 |
23510130
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
外山 利彦 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (10294159)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 量子ドット超格子 / パーコレーティブ伝導 / 液相合成 |
研究概要 |
コア粒径/シェル厚の精密制御性を有する液相合成法を用いて作製したZnO量子ドット(QD)を担持体中に分散させる。この時、自然形成されるパーコレーティブ伝導経路を利用し、量子ドット超格子(QDSL)構造を構築することを目論んだ。初年度は、液相合成法により、ZnOコア/MgOシェル構造QDの形成条件の検討を行った。酢酸亜鉛および酢酸マグネシウムを出発原料とし、水酸化ナトリウム溶液と反応合成することにより、ZnOコア/MgOシェル構造を形成した。まず、ZnOコア形成について、成長温度、溶液濃度、成長時間などの制御項目を精査した。成長温度を溶液濃度の最適化を行った結果、ZnOコア粒径は、成長時間に対してLSW則で表されることが明らかとなった。その結果、ZnOコア粒径が理論値より求められることから、コア粒径の精密制御可能であることを意味する。さらに、ZnOコア形成後に酢酸マグネシウムを滴下して、シェル形成を試みた。まず、TEM観測から、パーコレーティブ伝導経路の形成が確認された。さらに、EDX観測から、MgおよびZnが含有されていることから、ZnOコア/MgOシェル構造の形成が示唆された。一方、QDの分散には一部偏りが見られ、担持高分子のみが観測される箇所が生じていた。これは、個々のZnOコアではなく、ZnOコア凝集体を表面張力が小さなMgOが覆うような構造になったためと推察された。そこで、作製プロセスを見直し、ZnOコアの分散性を改善した上で、MgO形成を行った結果、QDが、担持高分子中に均一に分散したことをTEM観測によって確認した。本年度の結果を踏まえて、次年度以降では、ZnO QDSL構造を発光層に含有するLEDを試作し、励起子発光の評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標である液相合成法によるZnOコア/シェル構造QDの形成条件の検討については、ZnOコア/MgOシェル構造QDの形成およびパーコレーティブ伝導経路の形成、すなわちQDSL薄膜の形成を確認しており、第一段階は達成したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
印刷形成したQDSL薄膜を発光層(n層)に用いたLED構造を試作して、電流―電圧特性およびEL特性から、キャリア輸送特性ならびに励起子発光の評価を行う。正孔輸送層(p層)には、これまでに実績のある有機材料(ペンタセン)を用いる。上部に透明電極をスパッタ製膜し、励起子EL特性を測定する。電流―電圧特性は、今年度購入物品であるプレシジョン・ソース/メジャー・ユニットを用いて行う予定である。その際、p層への注入効率が問題となると予想されるため、p形導電膜(SnO)の導入も検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度途中で研究代表者の所属が変わり、その異動にともない当初使用予定であった備品が一部使用出来なくなったため、LED評価用のプレシジョン・ソース/メジャー・ユニットを導入した。また、直接経費の一部も繰越となった。次年度の研究費については、本年度繰越分を含めて、支出内容は当初計画の通り、実験原材料および実験器具の購入、成果報告、ならびに論文発表費用に使用する予定である。
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