研究課題/領域番号 |
23510134
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研究機関 | 長崎国際大学 |
研究代表者 |
柴田 攻 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (10117129)
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キーワード | 肺サーファクタント / 表面・界面物性 / インテリジェント・ナノ材料 / Langmuir単分子膜 / 表面電位ー面積等温線 / 偏光変調反射赤外分光法 / 原子間力顕微鏡 / 蛍光顕微鏡 |
研究概要 |
人工調製型肺サーファクタント(LS)の基本成分はDPPC(ジパルミトイルホスファチジルコリン)、PG(ホスファチジルグリセロール)、PA(パルミチン酸)等がある。PAは動物由来型、人工合成型の双方のLS調製物に有効な添加剤として使用されている。現在までにPAは、LS主成分DPPCの機能を助け、LS単分子膜の分子配向・充填を向上させると認識されてきた。しかしながら、生体条件ではPAのカルボキシル基は殆どイオン型であり、LSタンパク質(カチオン)との間に静電的な相互作用が存在してと推察される。本年度は、この特異的相互作用(静電的相互作用)がモデルペプチドの二次構造の制御にどのように関わっているのか精査した。モデルぺプチド単独の膜では、肺胞運動を模倣した圧縮・拡張過程に関わらず優位にα-ヘリックス構造を呈す。しかしながら、モデルペプチドにLSの主成分DPPCと混合すると、圧縮過程においてα-ヘリックスからβシート構造へと変化した。PGは完全な陰イオンであり、陽イオンのモデルペプチドとの間に静電的相互作用が生じている。本研究ではこの相互作用がモデルペプチドの二次構造変化を抑制することを突き止めた。また、PAは部分的に陰イオン体として存在していることから、PGと同様の抑制効果を発揮することが明らかと成った。このPAに関する知見はこれまでの常識を覆すものである。LS系で添加物として使用されているPAの役割が明確なったことより、本研究成果は人工調製肺サーファクタントの開発研究に大きく貢献できるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究により我々が考案して人工肺サーファクタントの詳細な薬効・メカニズムが明確と成った。実際の市場化に向けては多くの問題があるが、本研究の目的は達成されたと判断出来る。
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今後の研究の推進方策 |
1) 既存Surfactenの薬効を凌駕する様な有効な添加物(部分フッ化化合物)を探索する。 2) 模倣ペプチドの二次構造と肺サーファクタント物性の関連性を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度の成果の追加実験、新規ペプチド、新規フッ素化合物の合成、二次元物性実験に取り組む。それらの成果を論文に纏めまた国際会議にて発表を行なう。
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