研究課題/領域番号 |
23510137
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
吉岡 弥生 地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (00359407)
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研究分担者 |
浅尾 勝哉 地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (00359374)
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キーワード | ナノファイバー / 芳香族ポリアミド |
研究概要 |
沈澱重合法により、トリフルオロメチル基を有する芳香族ポリアミドナノファイバー(ファイバー径:50~100nm)が密に絡み合った多孔質体を作製することができた。また、この反応系では重合時のモノマー濃度や溶媒組成によって、モルフォロジーが大きく変化することが昨年度の研究により明らかとなった。 そこで本年度においては、ファイバー形成において最適な反応系およびそれ以外の反応系とも比較しながら、様々な分析手法を用いて、その形成過程や形成後の時間変化に伴う構造および特性変化を検討した。その結果、モノマー溶液混合後、最初に粒子が多数形成され、その後自己組織化によりファイバー状に変化することが分かった。また、このようなモルフォロジー変化を伴う形成過程においても、重合は進行していた。そして、一定時間後にファイバー径などが揃った多孔質体が得られた。またこのようなファイバー形成には、反応過程における物理ゲルの形成も密接に関係していることが分かった。さらに反応時間を長くすると、そのモルフォロジーは乱れるが、分子間の水素結合および結晶化度は増加する傾向が見られた。このようなことから、反応時間によってもモルフォロジーや特性をある程度制御できることが明らかとなり、材料設計などにも活用できるものと考えられる。また、これら多孔質体の特性および構造は、熱処理によっても顕著に変化することが分かった。 一方、得られた生成物(多孔質体)は、用いる最終分散溶媒によって、加工のしやすさや比表面積が変化することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の2年目計画としては、1.多孔質体の形成機構の解明、2.加工方法の検討について主に研究を進めることとしていた。特に1の項目においては、反応系が当初予測していたものより複雑であったことから、様々な分析手法を組み合わせる必要があり、その解析は困難であった。しかしながら、今年度末には、分子レベルからの情報も含めた形成機構の全体像を把握することができた。これらのさらなる詳細な解析については次年度も引き続き取り組んでいきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、本研究期間の最終年度(研究期間:3年)となることから、 1.多孔質体の構造および特性の相関関係の解明、 2.ファイバーへの機能付与および改質 について主に研究を進めていく予定である。1の項目については、熱処理に伴う構造および特性変化をより詳細に検討するとともに、多孔質体作製時の反応条件(撹拌方法および反応時間)による構造および特性への影響なども検討する。そしてこれまでの研究結果も踏まえ、より包括的かつ系統的な解明に取り組む。2の項目については、ファイバーと他の化合物による複合化や複数のモノマーを用いる共重合化などにより機能付与や改質を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額(140円)については、金額が少額であったため、物品費・旅費等で使用することが出来なかった。 このようなことから、残額は次年度に繰り越して使用するが、使用計画については当初の申請どおりである。
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