研究課題/領域番号 |
23510138
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
秋元 卓央 東京工科大学, 応用生物学部, 准教授 (90367194)
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キーワード | 蛍光 / 偏光 / 誘電体 / 干渉 |
研究概要 |
銀と酸化アルミニウムを積層させた積層構造基板を作製した。酸化アルミニウムの膜厚は過去の実験結果より90 nmとした。そこに100ng/mlの蛍光物質RhodamineBを滴下した。 また、市販の蛍光顕微鏡を改造し、高コントラストな蛍光検出を可能にする顕微鏡を試作した。具体的には、励起光が積層構造基板表面に対し平行に振動するように偏光板を挿した。蛍光は、背景光となる反射した励起光の振動方向と直交する振動の光のみを検出できるように設計した。これらにより、背景光を抑制しつつ高い蛍光増強が得られる光学装置を試作した。 この装置と基板を用いてRhodamineBの蛍光強度を測定した結果、蛍光が11倍増強しノイズシグナルが1/10倍まで減少することがわかった。すなわちこの結果より、本装置を用いることで、コントラストの指標となるS/N比が110倍向上できるとがわかった。 また、タンパク質検出のモデル実験として、作製した積層構造基板にビオチンを固定化しCy3標識のアビジンを検出することを試みた。ビオチンは、積層構造基板表面をアミノ基で修飾し、その後に、NHSで活性化したビオチンを滴下することで固定化した。非特異的な吸着を抑制するために、BSAによるブロッキングを行った。この方法によりCy3標識のアビジンを測定したところ、蛍光シグナルが3倍増強し、ノイズシグナルが1/8倍に減少した。この結果より、アビジンの検出においてS/N比が24倍高くなることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
市販の蛍光顕微鏡を改造し汎用性を高めた装置を用いた場合でも、S/N比が100倍程度向上することが示された。このため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光検出装置の性能を向上させる試みを継続するとともに、抗原抗体反応を用いてタンパク質の検出を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
タンパク質の検出を行う実験が予定よりもやや遅れたため、タンパク質などを購入すための費用に繰越金が発生した。次年度は、装置に組み込む偏光板などについて改めて性能などを吟味するとともに、抗原や抗体などのタンパク質試薬の購入を行う。また研究成果の発表のたの旅費として使用する。
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