研究課題/領域番号 |
23510142
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
松下 慶寿 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (80240753)
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研究分担者 |
大川原 真一 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30282825)
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キーワード | マイクロリアクター / 光触媒 / 医薬品合成 / 二酸化炭素資源化 |
研究概要 |
マイクロ光反応系の特性を活かせる反応スキームについて精査するとともに、特に酸化チタン光触媒をマイクロチャネル内壁に担持したマイクロリアクターを用い、マイクロフロー系の特性を活かして最終生成物の酸化段階を制御、酸化・還化反応により高付加価値化合物を得る新規反応プロセスの開発に注力してきた。トルエン誘導体を酸化して香料、農薬、医薬品原料などをバッチ式マクロ反応系では見られない高い収率、選択性をもって合成できること、純水中に飽和させた二酸化炭素の水のみを電子源とした還元・資源化を試みれば、犠牲還元剤等を加えずとも10%を超える収率でメタノールが得られること、さらにマイクロ流路内に生じる多相流を用いれば、バッチ式マクロ反応容器では不可能な、光触媒反応副反応の抑制が実現できることを示した。さらにこのマイクロ反応系の実用化を目指し、単一流路型リアクターと比べ100~300倍程度の反応容積を有する並列流路型デバイスの開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
香料、農薬、医薬品原料などの高付加価値化合物をバッチ式マクロ反応系では見られない高い収率、選択性をもって合成できることを示してきているが、触媒の状態の電子顕微鏡を用いた精査などにより、反応装置のパフォーマンスを一定以上の高いレベルに保つ手法の開発が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ここで開発した技術はさらに多くの有用な選択的酸化・還元プロセスへの応用が期待できる。キノリン類から抗生物質を直接合成するなど、高付加価値化合物合成のための新たな反応系への応用について紹介するとともに、可視光応答型光触媒の応用など、環境負荷低減型の新規反応プロセスの開発を行う。実用化に向け単一流路型リアクターと比べ最大300倍程度の反応容積を有する並列流路型デバイスの開発を行ってきているが、この並列化をさらに進展させ、高い反応収率を保ったまま1000倍以上の実生産能力を持ったデバイスの開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
並列流路型デバイスの開発進展させるための技術開発、部材、試作加工のために支出を行う。在外の研究機関との共同研究のために旅費にも一定額を割り当てる。
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