研究課題
昨年度までに、積層型マイクロリアクターに抗原内包樹脂製フィルターを設置し、新たに提案した間接競合ELISA法にて環境ホルモン・ノニルフェノール(NP)の微量自動測定系の構築を試み、シリンジポンプを用いた自動送液系と光ファイバー蛍光分光光度計を含む蛍光検出系を備えた自動分析システムの構築した。これを用いて0.10-0.40microgram/Lの範囲の微量NPの検量線の作成に成功した。さらに、シリンジポンプをマイクロピエゾポンプに交換する等、システムの小型化に取り組み、このシステムを25cm角のアクリルケース内に収めることができた。平成25年度は、このシステムを用いてNPの微量測定を行い、その測定の再現性の評価を行うとともに、フィルターでの抗原抗体反応時間、標識酵素の反応時間の最適化について検討し、分析時間の短縮を目指した。NPの微量測定の評価では、NP濃度0.10-1.00microgram/Lの範囲で良好な負の検量線が得られ、各濃度3回の繰り返し測定で、平均変動係数(CV値)は4.2%と極めて低い値となり、本システムが市販NP測定ELISAキットの定量下限値(5.0microgram/L)より1桁以上の低濃度のNPを実用分析に耐えられるレベルで微量測定できることが明らかとなった。また、30-40分かけていた抗原抗体反応が5-10分で十分であることがわかった。一方、標識酵素の反応時間を20-25分に設定していたが、最適化の結果、17-23分が良いことがわかり、現状でほぼ最適値であることがわかった。一方、蛍光検出系の小型化は、高輝度LED光源や光ファイバー分光光度計の製品からパーツのみ利用して小型化する試みであったが、光ファイバー分光光度計のパーツの入手が予算の関係上できず、現状で止まっており、課題として残った。ニトロフェノールの同様の分析は樹脂の合成が進まず、NPの分析を優先して結果を出した。
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