現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目標としては、「既存の光共振器構造と電界効果型トランジスタ(FET)構造とを組み合わせ、有機半導体単結晶に適したレーザー素子構造の構築を中心に研究を実施する」ことを挙げている。レーザー素子に用いられる光共振器構造のうち、本研究では回折格子型構造、特に分布ブラッグ型反射器(DBR)構造に着目した光共振器構造の構築を第一目標とし、平成23年度においてはその基礎段階の研究となる、新しい高効率発光有機単結晶材料の探索、およびFET構造中の界面状態制御による発光の高効率化を試みた。新しい高効率発光有機単結晶材料の探索においては、東北大学原子分子材料科学高等研究機構内の有機材料合成研究グループとの共同研究を開始し、結晶端面発光において高発光効率を有するフェニルチオフェン類の新規誘導体化合物の合成とその単結晶化に成功し、発光波長に対する元素置換効果などの知見を得ることに成功した(S.Ikeda, R.Kumashiro et al., 2011 Fall MRS meeting, (November 28-December 2, 2011, Boston, MA, U.S.A.)など)。FET構造中の界面状態制御による発光の高効率化においては、DBR構造構築において微細構造の作りこみが想定される高誘電体ポリマー絶縁膜に新材料を適用し、雰囲気に対するFET特性の安定度を飛躍的に高めることに成功した(T.Kanagasekaran, R.Kumashiro et al., 日本物理学会第67回年次大会, (March 24-27, 2012, Nishinomiya, Japan)など)。
|