研究課題/領域番号 |
23510149
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
GALIF KUTLUK 広島大学, 放射光科学研究センター, 特任准教授 (00444711)
|
キーワード | 金属ナノ粒子 / ナノ触媒 / 表面・界面 / 光電子分光 / STM STS / graphite |
研究概要 |
超高真空雰囲気においてグラファイト基板上にAuナノ粒子を形成して光電子分光実験を実施した。金属表面からの光電子の脱出深度を考慮して励起光にはhν=21.2,60,140,1486.4eV等の異なるエネルギーの光子を用いてValence band (VB)および4f core level spectra をそれぞれ計測した。バルク敏感な(hν-1486.6eV)計測と表面敏感な(hν=21.2,60eV)計測を比較することによりVB spectra においてはAuナノ粒子表面固有の特性を表すd電子状態について情報得ることができました。そして、固体に比べてAuナノ粒子の表面効果は表面敏感な(hν=140eV) 4f core level spectra の計測により再確認できた。一方で、清浄なAu(111)単結晶に対する角度分解光電子分光低温測定によりFermi 近傍のdbandの振る舞いを知ることができたでなく、通常ではなかなか観測されないsp band 由来のparabolic shape の”表面状態”がはっきりと観測できた。粒径が小さくなるにつれて表面成分が支配的になるAuナノ粒子においてはこのsp band がどうのように変化するかがナノ粒子の活性の起源に深く係わっているではないかと考える。その他、整備を進めている冷暖兼用マニピュレーターは冷却用サンプルホルダーと高温アニール用サンプルホルダーから構成され、クライオースタッドロッドの軸上に設置している。これにより同一マニピュレーター上でサンプルを差し替えによりサンプルの冷却および加熱が実施できる。液体窒素の導入冷却によりサンプル温度が95Kに達していることが確認出来た。高温用サンプルホルダーを用いたアニールテストではサンプル温度が1700Cに達していることが確認できた、サンプル加熱には電子ビーム衝撃法を用いた。グラファイト基板を用いた低温成膜実験では、常温成膜に比べて膜の着き方が大きく異なるこたがLi蒸着実験で確認できた。この結果は低温蒸着により粒径が揃ったAuナノ粒子創製の可能性を示唆している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度において研究以外の業務で研究科の留学生リクルートの業務に割く時間が増えたために本研究を遂行する時間が十分に確保出来なかった。
|
今後の研究の推進方策 |
6h-SiC(0001)-6√3×6√3R30°の構造を持つ規則正しい周期を持つナノスケール多孔質ハニカム構造をもつ基板上に低温蒸着より粒径が揃ったAuナノ粒子を形成しそのAuナノ粒子に対して表面敏感な光電子分光測定を行い、Fermi 単近傍のspおよび d bandの挙動について調べる。これにつつきCO 等の排ガスを付着させた時にspおよび d band がどのように変化するかを調べる。そして、Au-Tiからなる2元系ナノ粒子についてもspおよび dの振る舞いをCO付着させる前後どう変化するかを調べる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は、冷暖兼用マニピュレーターを用いてグラファイトなどの基板温度を制御しながら粒径が揃ったAuナノ粒子創製する最適基板温度を見いだす計画であった、ちなみにその冷暖兼用マニピュレーターの性能確保は本研究の大事な一環ぢある。そのマニピュレーターの調整予定よりが遅れて、年度の後半になってやっと完了した。Auナノ粒子創製およびその計測に係わる研究費の執行はその時点での進捗状況をふまえて臨機応変進める必要があるので、昨年度の時点で先を見越して関連物品を購入するのが得策ではないと考えてために残高が生じた。その予定研究費(残高)を今年度(H26)有効に使用することにした次第である。 ナノ粒子サンプル作成するための、Au, Agの蒸発用金属材料、担持材料としての HOPG, Kish-graphite、Natural graphite、そして標準サンプルとしての Au単結晶、Ag単結晶を納入する予定である。この他、これらの測定サンプルを計測装置(STM,UPS, XPS)に組み込むホルダーを作成する為の機械加工費に充てる。測定結果の解析の為のパーソナルコンピューターを購入する。得られた結果を国内外の学会で発表を行うための旅費も必要である。
|