研究課題/領域番号 |
23510156
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
橋本 昭洋 筑波大学, システム情報系, 教授 (10143158)
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研究分担者 |
羽田 尚子 中央大学, 商学部, 准教授 (80384022)
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キーワード | 国家安定性 / 国家統合・分裂 / DEAノン効率分析 / 上向き・下向き評価DEA / 階層フロンティア評価 / フロンティアDMUの順序 |
研究概要 |
世界97か国の国家安定性を,安定度をみる上向き評価・不安定度をみる下向き評価双方のDEA(Data Envelopment Analysis)手法で計量し,その1981-2004年(冷戦終結(1989年)前後24年)の推移をDEA/MI(Malmquist Index)分析で明示する方法論を提示した。分析は統合国(ドイツ)・分裂国(ソ連,チェコスロバキア,ユーゴスラビア)に焦点をあて,特に多数生じた分裂後継国については,2004年(分裂後10数年)における安定性の評価を行った。得られた主な結果は以下の通りである: 1.国別の安定性の推移をみると,1989年の天安門事件,1991年の湾岸戦争,2001年の同時多発テロなどの歴史的事実が確実に推移グラフに反映されていることから,本研究の分析手法の妥当性を確認できた。 2.世界の国家安定性フロンティアを押し上げた国,安定性リア(不安定度フロンティア)を押し下げた国をみると,スイス,アメリカ,シンガポールが世界の安定性の高揚に貢献したこと,イラク,ペルー,北朝鮮が安定性を低下させた責任があることが実証された。 3.ドイツの統合直前は,安定度は東独の方が西独より高く,不安定度から見ると西独の方が東独より安定性が高かった。 4.ソ連,チェコスロバキア,ユーゴスラビアの3分裂事例から,いずれも分裂の5年前から安定度・不安定度のいずれかで測った安定性が50%低下して分裂に至っていた。 5. 2004年におけるすべての国の安定性を全14階層に格付けしたが,ソ連の分裂後継国15国の中では,ロシアが第2階層で最も高くキルギス・タジキスタンが第12階層で最も低い。ユーゴスラビア後継国5国では,最高がスロベニア(第7階層)・最低がマケドニア(第12階層)であった。チェコスロバキア後継2国のスロバキア・チェコは共に第9階層であった。
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