研究課題/領域番号 |
23510157
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
牧本 直樹 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (90242263)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 極値理論 / 相関 / 時系列モデル |
研究概要 |
予定している2つのアプローチのうち,今年度は領域依存相関モデルを中心に研究を行った.相関分析の難しさは複数の変量を同時に考慮しなければならない点にある.そこで,研究の端緒として,同符号の領域を分布のサポートとする(例えばともに正)2変量を考え,それらの比がどのように分布するかという視点を中心に分析を行った.比を考えることで1変量に帰着されるため,複数変量に比べて解析しやすくなることが期待される.分析の結果,あるクラスの分布に対して,相関係数や同時分布のパラメータと比の分布(特に漸近的な特性)の関係を確認した.また,数値実験を援用してより一般的な分布に対する分析を行い,極値相関が比の分布に与える影響を多角的に評価した.さらに,これらの結果を分母の変量がしたがう1次元分布と組み合わせることで,元の2変量分布の漸近的な相関を分析する方法についても検討した. 応用例として,これらの結果をもとに不動産競売データの分析を行った.不動産の競売では,事前に売却基準価額が公示され,それをもとに入札が行われて落札額が決定する.売却基準価額と落札額を組み合わせた極値分析を行い,落札額分布を推定する手法を提案した.また,実データを利用した分析を行い,実用的には十分な精度で落札額分布を推定できることを確認した.また,価格領域に応じてどのような物件属性やマクロ経済変数が説明力を持つかを確認する方法も提案し,検証を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では,領域依存相関モデルと時系列相関モデルの2つのアプローチを提案している.当初の計画では,初年度は領域依存相関モデルに焦点を当てて研究を行う予定であったが,いくつかのデータを予備的に分析したところ,データによっては2つのアプローチを明確に切り分けられないケースがあることがわかった.そのため,当初予定した領域依存相関モデルを中心に研究しつつ,一部では時系列相関モデルの研究も並行して行うこととなり,領域依存相関モデルについては当初予定した水準までは進捗しなかったものの,2年目に予定していた時系列相関モデルは先行して研究を行っており,全体としては予定通りと評価できる.
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今後の研究の推進方策 |
前項の現在までの達成度欄で述べたように,研究内容の関連性の点から,初年度は予定していた研究を一部を遅らせる代わりに2年目の研究を一部前倒しで行った.2年目は,当初から予定していた時系列相関モデルを中心に研究を行うとともに,初年度の研究で一部で残っている項目についても研究を完了させ,2年目終了時点では当計画通りの実施状況とする予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度予定していた研究計画の一部を2年目に繰り延べ,逆に2年目の研究の一部をして行ったため次年度の研究費が発生している.2年目終了時には当初の計画通りの実施状況となる予定であり,次年度の研究費もその中で活用するものである.
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