研究課題/領域番号 |
23510167
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松井 啓之 京都大学, 経営学研究科, 教授 (90272682)
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研究分担者 |
小野 功 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (00304551)
森 直樹 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90295717)
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キーワード | U-Mart / 仮想市場 / マルチエージェント / シミュレーション / 金融市場 / システミックリスク |
研究概要 |
本課題では、リーマンショックやギリシャ危機などに見られる金融市場における大規模な価格の暴落を市場システムとの戦略取引との複合系における創発的特性によるシステムとしてのリスク(システミックリスク)と捉え、このリスクについて市場制度の忠実なモデル化を行っている人工市場システムU-Martを多銘柄システムに拡張し、キャンパスグリッドやスーパーコンピュータなどを活用したエージェントベースシミュレーションにより、その特性を明らかにするものである。さらにゲーミングシミュレーションを並行して実施することにより、行動経済学および実験経済学の知見を踏まえ、実際に人間が取り得る行動を観察することで、エージェントベースドシミュレーションを補完する。 研究期間を通じて得られた知見として、(1)東京証券市場の取引システムの開発者へのヒアリング調査などに基づき、現実の市場システムおよび金融制度を実装した多銘柄の対応した人工市場システムU-Mart Ver.4を開発した。(2)金融市場におけるシステミックリスクの構造について、ネットワーク分析等の分野の知見を踏まえ分析を行ない、人工市場において実装を行った。(3)理論的な最適発注行動について人工市場によるシミュレーション分析を実施することで、その特性を明らかにした。(4)さらに、ヒューマン実験の結果から得られた人間の発注行動と理論上の最適発注行動とが大きく異なること、などを明らかにした。 しかしながら、システムの開発とシステミックリスクの構造分析、実装に手間取ったため、当初予定していたシステミックリスクに関する大規模なシミュレーション実験につては十分な成果を出すことが出来なかったが、必要とされるプラットホームの開発を終えていることから、今後も実験を続けることで、当初の目的を達成していく予定である。
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