研究課題/領域番号 |
23510168
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
白石 陽子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (30551163)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 安全政策 / セーフコミュニティ / 安全なまちづくり / 評価指標 / ソーシャルガバナンス / 国際研究者交流 / 国際情報交流 / アジア |
研究概要 |
本研究は、2009~2010年の「科学研究費(若手研究スタートアップ)」による「安全なまちづくりにおけるソーシャルガバナンスのモデルの構築」に関する研究の成果を踏まえ、地域で形成されたソーシャルガバナンスの仕組みがコミュニティ与えたインパクト(影響)を評価するための指標モデルの構築を目指しており、その指標の構築においては、引き続き世界レベルで急速に普及している安全なまちづくり「セーフコミュニティ(SC)活動」を事例として取り上げている。本研究は、3つの段階(「現状把握」、「指標モデルの検討」、「指標モデルの試行」)からなり、23年度は、[現状把握]として安全状況を示す各種統計等のデータの収集及び幅広く「指標」に関する先行研究を行った。まずSC活動に取り組んでいる6コミュニティ(基礎自治体およびその一部)を取り上げ、コミュニティの安全を診断するためにどのようなデータや情報を収集しているかを整理した。その結果、安全の指標として事故および外的要因による傷害や死亡の状況を明らかにするためには、消防署の救急搬送データ、警察署から提出される統計資料、国が提示している人口動態資料を用いていることが明らかになった。ただし医療機関等にかからない軽微な傷害などは公的な記録がない。また、客観的安全に加えて、安心(主観的安全)にも着目しているが公的な記録やデータがない。この二つの情報を得るためには、住民アンケート調査を実施している。既存の取組の評価の方法に関しては、自治体の事業については事務事業評価を行っている自治体が多いが、市民レベルでの取り組みについては、大まかな活動実績が見られる程度で、その成果等に関する評価はほとんど行われていない。これら23年度中の研究成果については、9月に国際学会で報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度は、国内外の安全政策の測定に関する情報の収集を計画したが、国内のデータ収集に当初想定していた以上の時間を費やしたため、海外の情報収集に十分な時間をとれなかった。ただし、国内の情報については、当初24年度に予定していた自治体の事例研究に関わる情報を収集することができた。さらに、新たにセーフコミュニティに着手しようとしている自治体等との接点を得て、ネットワークを拡大できたため、当初予定していた自治体よりも多くの自治体にアプローチできた。さらに次年度に予定していた事例研究に該当する情報についても部分的に収集できたため、先行した部分もあった。しかし、国外については、セーフコミュニティ認証申請書等の文献の収集は行ったが、評価方法に関してまだ十分な整理が行えていない部分がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は、国内の現地調査を重点的に行った。そのため、24年度は、国内事例については、それら情報の整理を進める。また、現在は、有効性がみとめながら十分に活用できていない救急搬送データや学校保健データなどの評価指標としての活用を試みる。海外事例については、昨年十分に行えなかったアジア圏の現地審査を積極的に行う。そのうえで、国内外の事例について、行政制度、コミュニティの規模、体制、取組の方法、既存の評価方法等を基盤に分類を試みる。これらの成果については、10月、11月に予定されている国際会議等で報告する。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は、台湾や韓国など海外の自治体に情報収集に赴く予定であったが、国内の情報収集に重点を置いたため、海外での調査は当初想定していたほど行っていない。ゆえに、平成24年度はより重点を置いて海外の現地調査を行い、各種情報を収集する。そのため、旅費、情報収集にかかる人件費(ヒアリング対象者への謝金や通訳・翻訳等)が発生する。また、国内外で収集したデータの整理が十分に行えなかったので、24年度にその分の整理を行う(人件費を予定)。また、海外で評価方法について研究を行っている専門家から情報を提供いただくための謝金等を支払う。さらに、国際会議における報告を希望しているため、そのための渡航費、参加費等を予定している。
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