研究課題/領域番号 |
23510172
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
森川 克己 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10200396)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 生産計画 / スケジューリング / 人間 / 数理モデル |
研究概要 |
製造企業における生産効率の向上を目指した活動を理論的側面と実践的側面の両側から支援するために,(1) 生産計画・スケジューリングにおける人間の役割の数理モデル化,(2) 漸進的生産計画・スケジューリングの数理モデル化,(3) 研究成果のウェブによる公開,という3つの研究目的を設定し,それぞれについて以下の成果を得た. (1) 人間の役割の数理モデル化:工程毎に計画担当者が割り当てられている2工程生産システムにおいて,各担当者は自身の工程に対して緻密でより生産効率の高い計画の立案ができると仮定する一方で,計画担当者間で情報伝達に漏れが生じる場合もあるとした設定において,数理計画モデルを含む計画立案手順を構築した.数値実験において,両工程を一括して考慮する全体最適化モデルと比較し,人間が計画立案に積極的に関与することが好ましい条件を実験的に明らかにした. (2) 漸進的生産計画・スケジューリング:製造リードタイムの短縮を課題とする受注生産企業を対象とし,多段階の直列型生産ラインの上流工程に対して部分的に見込生産を組み入れていくという漸進的な取組みの適用を提案した.注文割当,受注生産量,見込生産量の決定ルールをシミュレーションによって実験的に評価し,それぞれのルールの組合せの製造リードタイム短縮への効果を明らかにした. (3) ウェブによる公開:関係図書の入手と内容整理,ウェブサイト構築に必要なソフトウェアの準備,公開用サイトの開設手続きが完了した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究目的と研究計画を照らし合わせたとき,以下の2項目が実施できていない.いずれも次年度の早い段階で実施して遅れを取り戻す予定である.(1) 人間の役割の数理モデル化については,企業の実務家によるレビューを受けることを計画していたが,モデル化と実験による評価に時間を要し,レビューを受ける段階まで進めなかった.(2) 成果のウェブによる公開は,初年度より部分的ではあっても公開を行うことを計画していたが,どのような情報をどのような形で掲載すればよいか,どのようなフィードバックを得る必要があるか,などの検討が不十分な状態にあり,公開まで進めることができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
上述した一部の繰り越し課題に率先して取り組むとともに,当初の計画に沿って,(1) 人間の役割のモデル化については,生産環境に存在する不確実な要素を取り込むとともに,システムダイナミクスに基づくモデルの構築にも取り組む.(2) 漸進的数理モデルの構築では,これまでの成果に対して実務家からの評価を受け,より現実的な視点からモデルの拡充を検討する.(3) 成果の公開では,ウェブによる公開に加え,実務家や研究者から直接的なコメントが得られるような仕組みを導入する.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めるに際して必要としていたソフトウェアの無償利用が可能となったことなどより次年度に使用する研究費が発生した. これを踏まえつつ次年度は,当初の計画に沿ったシミュレーション用ソフトウェアを購入して新たなモデルの構築に取り組むとともに,企業調査や研究成果発表(国内ならびに海外)のための旅費,研究支援等の謝金などに研究費を使用する予定である.
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