研究課題/領域番号 |
23510172
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
森川 克己 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10200396)
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キーワード | 生産計画 / スケジューリング / 人間 / 数理モデル |
研究概要 |
製造企業における生産の効率化を目指した計画活動を理論的側面と実践的側面の両側から支援するために,(1) 生産計画・スケジューリングにおける人間の役割の数理モデル化,(2) 漸進的生産計画・スケジューリングの数理モデル化,(3) 研究成果のウェブによる公開,という3つの研究目的を設定し,それぞれについて今年度は以下の成果を得た. (1) 人間の役割の数理モデル化:前年度に引き続き,2工程生産システムを対象とした生産計画問題に対し,人間の役割を組み入れたモデルの見直しを行い,望ましい稼働率や先行生産情報の加味など,人間が留意していると考えられる項目を組み入れた.数値実験で従来モデルと比較し総費用の低減を確認した. (2) 漸進的生産計画・スケジューリング:受注生産環境における生産リードタイム短縮のために,見込生産を部分的に組み入れて適宜注文に引き当てていくという漸進的なアプローチについて,その効果を確認するための追加実験を行い,適切な見込生産の導入が有効であることを示した.前年度の研究成果にこの追加実験結果を組み入れた論文は,学術論文誌(International Journal of Production Economics)への掲載が認められた. (3) ウェブによる公開:スマートフォンやタブレット等の携帯型端末での閲覧・利用を前提としたサイトのデザインを確定させるとともに,最初に掲載する情報として,加工食品製造環境を対象とした関連研究の成果を整理した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人間の役割のモデル化において本年度はシステムダイナミクスの導入を予定していた.そのためのソフトウェアを入手してモデル化の検討は行ったものの,今年度内に具体的な成果を出すに至らなかった.また,研究成果のウェブ公開が平成25年4月にずれ込んだ.
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今後の研究の推進方策 |
これまで対象としてきた2工程生産システムに対する生産計画に関しては,まず,生産環境に不確実性を導入して実験する.さらに,システムダイナミクスと結合させた,発展的なモデルの構築に取り組む. 漸進的生産計画・スケジューリングについては,受注生産環境を対象とした研究を発展させる方向で取り組む.具体的には,見込生産の導入程度を変えつつ,その都度効果を確認していくというステップの導入を検討する.併せて,生産計画やスケジューリングの技法に対する高度化にも取り組む. 成果の公開は,公開内容の充実を鋭意進めていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は研究成果をとりまとめる最終年度となるが,断片的に進めてきた研究をつなぎ合わせていく際に必要とされる実験の遂行に対する学生への謝金,研究成果を発表する際の交通費や参加登録費,学術論文誌への投稿に際しての英文校閲料,また,実務家へのインタビュー調査のための交通費を予定している.
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