研究課題/領域番号 |
23510174
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
鈴木 淳 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (30249742)
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研究分担者 |
山本 久志 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (60231677)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 設備再配置 / アルゴリズム / 進化的計算法 |
研究概要 |
遺伝的アルゴリズムを用いた設備再配置問題のための解法アルゴリズムを開発し,数値実験を通してその有効性を検証した。設備再配置問題は,現行設備の継続または停止の決定問題と,停止設備における生産の移転先設備決定問題から構成される。本年度は遺伝的アルゴリズムをそれぞれの決定問題に適用した場合の探索効果の検証をとりまとめて論文として発表した。それとともに,継続・停止決定問題には遺伝的アルゴリズムを,生産移転決定問題にヒューリスティックなローカルサーチを,それぞれ適用したアルゴリズムを開発し,その効果を数値実験により検証した。実験のうち結果が揃った箇所からとりまとめ,考察を加えている。実験した範囲内ではあるが,従来の遺伝的アルゴリズムを二段階に使う方法よりも,遺伝的アルゴリズムに発見的局所探索法を組み合わせた方法の方がよい結果を得ている。それら研究成果を,日本経営工学会春季大会,電気学会電子・情報・システム部門大会,国際会議APIEMS 2011,日本設備管理学会秋季研究発表大会などで発表し,他の研究者との質疑応答や討議を通じて有益な示唆を得た。日本設備管理学会誌へ論文「コスト制約をもつ設備再配置問題のための遺伝的アルゴリズムによる解法の改良」を投稿し,査読の結果,掲載された。これらから,設備再配置問題に対するより効果的な解法が開発され,実用的な時間内に優れた設備再配置案を作成して提案することが可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝的アルゴリズムをベースとした解法アルゴリズムを改良して,数え上げ,ランダムサーチ,局所探索などを組み合わせた方法を比較検討した。この結果,設備の継続・停止決定探索においては大域探索に優れる遺伝的アルゴリズムを用いる方が得策であり,停止設備の生産統合探索においては廃止設備数によって数え上げ法と発見的局所探索法を切り換えて使い分ける解法で良い結果が得られることがわかった。この実験結果から,本課題で対象にしている設備再配置問題においては遺伝的アルゴリズムをベースにして局所探索のような逐次改善的手法を組み合わせるような方法の方が有利であるとの知見が得られたと言うことができる。このことから,研究の目的の達成度としては,順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の成果をふまえて,遺伝的アルゴリズムに何らかの方法を組み込むことが有効であると考えられる。組合せ最適化のための手法の1つして多用される擬似焼きなまし法を使った解法を開発し,他の方法と比較検討して,解法の有効性を検証する。具体的には擬似焼きなまし法をベースにしたアルゴリズムや,遺伝的アルゴリズムと擬似焼きなまし法を組み合わせたハイブリッドアルゴリズムを考案し,数値例を用いて問題を解いて比較検討を行い,各解法アルゴリズムの優劣を考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内外の学会へ出張して研究成果を発表し専門家との討議を行うため,旅費として用いる。これら活動においてインターネットを通じた情報交換を迅速に行うため,PC周辺機器と通信機器を購入する。考案した解法アルゴリズムに基づくプログラムを作成し数値実験を行うとともに,得られた結果を集計および分析して解法の有効性を検証するため,実験協力者への謝金を支出する。学会誌に投稿した論文が掲載される際に必要となる投稿料や,実験結果保全のためハードディスク・CD-R等のメディア購入のための支出も予定される。
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