平成25年度は、ファジィランダム変数係数を含む多目的計画問題に対して既に作成している対話型アルゴリズムに基づいて、対応する対話型コンピュータ・プログラムの開発を行った。また、提案する意思決定手法の妥当性・有効性を検討すべく、現実の意思決定問題を多目的計画問題として定式化している各種文献を調査した。その結果、開発したコンピュータプログラムの適用対象として、日本国内の中山間地域における多品種野菜作経営問題とフィリピンにおける天水農業の作付計画問題を取り上げることとした。これらの問題は、過去5年(あるいは10年)間に生起した事柄が今後5年(あるいは10年)間にも全く同様に生起することを前提として、通常の多目的計画問題として定式化されている。本研究では、まず、過去のデータ(各作物の年間収益係数)を確率変数として解釈して2種類の農業計画問題を多目的確率計画問題として定式化した。ここで、収益以外の目的関数(年間総余暇時間や最小余暇時間)は、確率変数よりはむしろ、ファジィ数や通常の係数の方が適切であるとの観点から、通常の確定値として取り扱われる係数のみならず,確率変数係数とファジィ係数が混在する多目的計画問題に対応するパレート最適解として一般化パレート最適解の概念を定義した。一般化パレート最適解集合の中から,意思決定者の満足解を導出するための対話型アルゴリズムを提案し、多品種野菜作経営問題に適用した研究成果をまとめ、日本経営システム学会全国研究発表大会(2013年12月)にて発表、国内学術雑誌にも投稿中である。さらに、その拡張として、通常の確定値として取り扱われる係数のみならず,確率変数係数、ファジィ係数、ファジィランダム変数係数が混在する多目的計画問題に対する対話型意思決定手法と農業計画問題への応用に関する研究を行い、国際会議SCIS&ISIS2014や国際ジャーナルに投稿予定である。
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