研究課題/領域番号 |
23510177
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
菊田 健作 兵庫県立大学, 経営学部, 教授 (30126487)
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研究分担者 |
木庭 淳 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (90177882)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | システム工学 / ネットワーク / 数理工学 / モデル化 / ゲーム理論 |
研究概要 |
次の1、2、3を研究した。1. 探索問題と協力ゲーム:複数の最適化問題の構造が同じでパラメータの一部が異なるのみであれば、それぞれの問題の意思決定者が集まって相談し総合的に意思決定することが考えられ、これらの問題を統合して1つの問題を考えることになる。こうすることによって費用の節約が生じるならばこれは意味のある考察であり、最適化問題を解くことに加えて統合による節約額の再分配を考えることになる。本年度は、最適化問題としてグラフ上の探索問題をとり上げ、統合モデルを提案し数理的解析を行った。2. high-low探索問題:数直線上の閉区間上に1個の目標物がある。Searcher はこの閉区間上の点を次のように有限回選ぶ。つまりsearcherは各点の選択の後、目標物との位置関係を告げられ、この情報を基にして次の点を選ぶ。searcherは自分の各選択と目標物との位置の差の和ができるだけ小さくなるように点列を選びたい。これの目標物の位置の事前分布を与えた最適化モデルの研究を行い、基本的な性質を調べた。3. 経済的活動をするエージェントをノードとし、エージェント間に張られるネットワークを考えて、ネットワーク上におけるエージェントの購買活動によって価格がどのように安定化するかを議論した。エージェントは自ノードと隣接ノードのみから物を買うとし、価格は各期におけるオークションによって決定されるとする。このとき、ある条件が満たされれば全体の価格が最初どのような分布であったとしても最終的に均衡することを証明し、理論的に特定の形状(ライン、サークル)における安定時間を示し、さらにシミュレーションによって様々な形状のネットワークでの価格安定の特徴を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最適な探索方策を考えることに加えて協力ゲーム理論を用いて節約額の分配を行うための数理的考察を行うことを主目的とした。このためのモデルを考察し、モデルのパラメータがある条件を満たすときは協力ゲームのコアが存在することを示した。high-low探索問題についてはmedianを評価として用いるような最適化モデルを構築し、解の基本的な性質を調べた。また価格安定に関するモデル化については、従来のミクロ経済学における直観的説明よりもネットワークを用いた詳細な説明を行うことを第一段階の目的とした。この目的は現在までに既に達成している。
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今後の研究の推進方策 |
探索問題と協力ゲームについて、探索問題がノード数3個以下の円グラフ上で定義される場合ある程度の数理的解析を行った。今後はより複雑なグラフ上で定義される場合の数理的解析を行いたい。high-low探索問題について、ゲームモデルを考え、基本的な性質を調べたい。最適化モデルにおいては目標物の事前分布の可能性を拡げて解析することも試みたい。また価格安定については、ネットワークの特徴に沿った安定化の法則性について調べていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度実質額は3月31日までに支出された額を記載したものであり、3月31日現在納品を完了したものについては次年度4月に支出された。研究成果の発表や研究交流のため国外の国際学会やワークショップ等への参加を2、3回予定している。また、国外の探索問題あるいはゲーム理論の著名な研究者を1人招聘して研究交流を行うことを期待している。他に、研究のためにパソコンおよび周辺機器、図書等の購入を行いたい。
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