研究課題/領域番号 |
23510177
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
菊田 健作 兵庫県立大学, 経営学部, 教授 (30126487)
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研究分担者 |
木庭 淳 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (90177882)
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キーワード | システム工学 / ネットワーク / 数理工学 / モデル化 / ゲーム理論 |
研究概要 |
1. 探索問題と協力ゲーム:複数の最適化問題の構造が同じでパラメータの一部が異なるのみであれば、それぞれの問題の意思決定者が集まって総合的に意思決定することが考えられ、これらの問題を統合して1つの問題を考えることになる。それによって費用の節約が生じるならば、最適化問題を解くことに加えて統合による節約額の再分配を考えることになる。昨年度は,円グラフ上の探索問題をとり上げ,協力ゲームのコアの存在等を述べた。今年度はリニアグラフ上の探索問題をとり上げた。 2. グラフ上の探索問題:探索者の移動費用やノードの調査費用を考慮した,有限グラフ上の探索ゲームでは探索者の初期位置は決まっているのが,従来から分析を続けてきたモデルである。初期位置を選ぶことも探索者の戦略に含むような探索ゲームを解析し成果が得られている。つまり,グラフがハミルトン閉路を含む場合にはゲームの値が得られた。一方,含まない場合はゲームの値の上下限が得られた。これを踏まえてリニアグラフ上の探索ゲームの値がどうなるかの検討を始めた。 3. 偵察問題:分散システムにおける故障発見への応用をもつ偵察問題を考えた。この問題は多段階2人ゼロ和ゲームとして定式化される。プレイヤーAを輸送船,プレイヤーBをテロリストとする。輸送船は港を何度も周回するが,その間テロリストが輸送船のルート上に機雷を仕掛ける可能性があるとする。輸送船は無人偵察ボートを備えていて,テロリストの設置する機雷を発見・除去できるが,テロリストが機雷をしかけることはまれであり,偵察ボートの周回には非常にコストがかかる。そこで輸送船はいつ偵察ボートを出すかを期待利得が最大となるように決定するものとする。輸送船がある港を出発して次の港に着くまでを1段階として,テロリストが各段階の最初に機雷を仕掛ける場合と,任意の時点で機雷を仕掛ける場合について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に引き続き,最適な探索方策を考えることに加えて協力ゲーム理論を用いて節約額の分配を行うための数理的考察を行うことを主目的とした。考えるグラフがリニアの場合に協力ゲームのコアが存在するとは限らないことを確認した。high-low探索問題についてはmedianを評価として用いるような最適化モデルの解の基本的な性質をまとめた。偵察問題に関しては機雷準備確率を導入した点,およびテロリストが任意の段階において機雷を設置する場合の考察が新たな進展である。
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今後の研究の推進方策 |
探索問題と協力ゲームについて、コアについてはいくつかのグラフ上で定義される場合ある程度の数理的解析を行った。今後は協力ゲームモデルの再検討や協力ゲームの他の解の応用の可能性を調べたい。探索者が初期位置を選ぶことも探索者の戦略に含むようなモデルでグラフがハミルトン閉路を含まない場合の解の解析を引き続き試みたい。また価格安定については、ネットワークの特徴に沿った安定化の法則性について調べていきたい。偵察問題については、テロリストが偽の偵察ボートを出すなど、予期しない事態についての考察を行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果の発表や研究交流のため国外の国際学会等への参加を予定している。さらに余裕があれば、研究のためにパソコンおよび周辺機器、図書等の購入を行いたい。
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