研究課題/領域番号 |
23510183
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
宮本 裕一郎 上智大学, 理工学部, 准教授 (20323850)
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キーワード | 最短路検索 / 最短路問題 / アルゴリズム / データ構造 |
研究概要 |
本年度は,主にアルゴリズム開発を行う予定であった.しかし,最短経路検索の応用における検討などに終始した.本年度の成果としては,安全下校経路設計問題などのネットワーク設計問題(最適化問題)の解法におけるサブルーチンとして最短経路検索が有用であることの確認ができたものの,その他の応用における実用化に向けた進展は少なかった.しかし一方で,アルゴリズムの開発や研究成果の発表には未だ結びついていないものの,交通システム最適化問題を解く際に有用であることを確認した.例えば,現在電気自動車などを用いたカーシェアリングが普及しつつある.これは従来から存在する交通システムとは運用の枠組みが異なるため,新たなシステム運用方法の構築が必須である.この問題を数理最適化問題としてモデル化する一つの方法として時空間ネットワークを用いる方法がある.時空間ネットワークは概念的にはわかりやすいものの生成されるネットワークのノード数が膨大なものとなるため,従来のアルゴリズムを使用すると計算コストは非常に大きくなる.そこでは時間・メモリの観点から効率的な最短経路検索が非常に有用になる.特に,高速に最短経路問題を繰り返し解く場合にはその重要度が増す.これは,より一般に交通計画の分野における最適化で重要な役割を果たすと思われるため,高性能なアルゴリズムの構築やデータ構造の工夫が出来れば経済的・社会的価値はとても大きなものになると思われる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最短経路検索法を実用化するためには,どのように実用化するかその場面を適切に設定する必要がある.そしてその場面に応じたアルゴリズムやデータ構造の工夫をするべきであるが,その設定が完全には固まっていない.いくつかのネットワーク設計問題(最適化問題)を想定し,その解法のサブルーチンとして最短路検索が有用であることは確認できたものの,それだけでは十分と言えないため.
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今後の研究の推進方策 |
交通システムの最適化問題を解く際に最短経路検索が有用であることを確認したので,その分野に注力して,実用につながる理論的基盤を構築しアルゴリズムを開発する予定である.また,実際にその実用性を実感できるように,成果を提示する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は,研究(具体的にはアルゴリズム開発)の進展が予定よりも遅れたため,使用した予算も少なめになってしまった.来年度はその遅れを取り戻すとともにその成果を各所で発表する予定のため,今年度使用しなかった分の予算を使用する予定である.
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