本研究では、最短路検索を実問題へ応用するための理論的な枠組みを構築することを目的とした。対象として主に取り上げた問題は、センサーネットワークやロジスティクスにおけるネットワーク設計問題である。いずれの問題も、多くの実用的な場面(設定)では計算困難問題に属する。よって高速・高精度なヒューリスティック解法あるいは可能な限り高速な厳密解法が必要とされる。ネットワーク設計問題の高性能なヒューリスティック解法を構築する定石の1つに「解の部品として有用そうなパスを生成し組み合わせる」というものがある。例えば、列生成法やそれをサブルーチンとして用いる分枝限定法などがそれにあたる。ここで有用そうなパスを生成する計算はある種の最短路問題に帰着されることが多い。例えば、制約付き最短路などである。この類の計算では、ほとんど同じパラメータ(ただし部分的に少しだけ変化している)に対する最短路を何回も高速に求める必要がある。このような場面における最短路計算の繰り返しは最短路検索と見なすこともできる。本研究では、最短路検索の計算方法を上述の場面に適用できる場合とできない場合を整理し、適用できる場合に関してはその効率を評価した。
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