研究課題/領域番号 |
23510192
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
後藤 正幸 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40287967)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Webマーケティング / テキストマイニング / 情報推薦 / 協調フィルタリング / 経営工学 / 文書分類 |
研究概要 |
本研究では,情報化社会の到来と伴って劇的に変化を遂げた消費者行動に焦点を当て,ソーシャルメディア時代の企業行動立案を強力に支援するための情報分析手法の開発,並びに情報技術を最大限に活用したWebマーケティング技術を開発すると共に理論的評価を行うことを目的としている。平成23年度は、特に「テキストデータとして蓄積されるマーケティング情報の分析技術の開発」と「情報検索や情報推薦の技術を活用したWebマーケティングモデルの開発と理論解析」に焦点を当て、個別に分析技術の研究を行った。テキストデータ情報の分析技術では、基礎的な研究として、複数のカテゴリへテキストを分類する多値文書分類問題を二値分類器で解く方法や複数の要素からなるテキストデータの分類を目的とした文書モデルの提案を行い、その評価を行っている。これらの方法では、主としてテキストのような複雑な確率構造を表現できるような確率モデルを用い、高精度の分類が可能となる方法を示した。また、経営工学分野におけるテキストデータの活用事例研究として、ECサイトで用いられるアイテム比較の機能とユーザによる自由記述の評価データの双方を考慮した商品推薦手法の提案を行い、実際のデータに対して適用してその評価を行った。また、実企業の業務プロセスで得られる大量のテキスト情報を半自動的に分類整理する方法論の構築を行い、実例を用いた検証により、その有効性を明らかにした。一方、情報推薦の基礎的技術については、ある種の確率モデルを用いた協調フィルタリングの方法について研究を行い、精度の高い推薦アルゴリズムの提案を行った。また、協調フィルタリングのような経験的方法がうまく働く理由について、理論的な側面から解析を行い、ある種の漸近解析手法を用いて、そのメカニズムを明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、(1)ソーシャルメディア時代の企業行動立案を強力に支援するための情報分析手法の開発,(2)情報技術を最大限に活用したWebマーケティング技術の開発と評価を目的としているが、本研究では、すでにそれらの基礎となる新たな分析技術やモデルの提案が得られており、その成果は国内学会や国際会議にて発表している。平成23年度は、18件の国内学会発表と11件の国際会議での発表成果を行った。現在、これらの成果をベースとし6件の査読付き論文を投稿済みであり、成果発表の状況も良好と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、平成23年度の研究成果を踏まえ、さらに基礎研究の基盤を固めると共に、応用事例による実践的評価についても検討を進める。テキスト情報の分析技術や情報推薦アルゴリズムについては、ある程度の下地となる知見が得られており、その延長線上での研究を進めると共に、企業の具体事例についての適用を検討する予定である。特に、企業の業務プロセスで得られる膨大なテキスト情報やECサイト上で得られる大規模なデータベース情報の分析技術について研究を進め、具体事例を用いた検証を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度も平成23年度は設備備品の購入は予定していないが、必要となる文献や資料のための消耗品費を支出する必要がある。また、引き続きテキスト情報やデータベース上のビッグデータを対象とした分析技術の開発を行うため、その膨大な前処理や分析シミュレーションなど、研究遂行のための人的資源が必要である。そのための研究補助業務に対する謝金を支出する。また、順調に研究成果が出ているためその成果発表の場を作り、かつ研究成果の最先端を調査する目的から、国内外の学会に参加する。そのための研究旅費を支出する。また、論文掲載料や学会参加費といったその他費用を支出する。
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