研究課題/領域番号 |
23510196
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
片桐 昌彦 名古屋大学, グリーンモビリティ連携研究センター, 招へい教員 (40354154)
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研究分担者 |
加藤 誠一 独立行政法人物質・材料研究機構, 量子ビームユニット, 主任研究員 (60354362)
浦島 邦子 文部科学省科学技術・学術政策研究所, 科学技術動向研究センター, 上席研究官 (30371008)
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キーワード | 水素貯蔵 / アルミニウム / アルミナ / 陽極酸化法 / 第一原理法 / 分子動力学法 / 水素拡散 / 計算機シミュレーション |
研究概要 |
金属が酸化膜でコーティングされると、金属内部で電荷密度の再配列がおき、イオン性が導入される。その結果、金属と水素の相互作用が変わり、水素の拡散が増大すると期待している。これを大規模計算により精密に計算し、水素の拡散、水素化物の核成長などを検討した。手法として、第一原理法と分子動力学法を用いた。また陽極酸化法によりアルミをコーティングし、それを水素化実験し、酸化による水素化特性の影響を系統的に調べるた。 計算機シミュレーションを用いて、α-AlH3中の水素拡散を調べた。第一原理計算で水素の動径分布関数や自己拡散係数を調べた結果、水素は殆ど拡散しないことがわかった。これは実験家の指摘と一致している。また、α-AlH3の第一原理フォノン計算を行った。圧力ゼロにおいてもフォノンのDOSに虚数が出ず、安定構造であることが分かった。アルミは水素化物を作らないと考えられているが、α-AlH3構造は圧力ゼロでも準安定状態として存在し得ることを意味する。一度α-AlH3構造が生成されると、安定構造故に水素は拡散できず、表面近傍で水素化が止まってしまうと考えられる。 陽極酸化法で実際に作成した酸化膜を作成した。これをSpring8の斎藤氏に送付し、水素化の試し実験を行った。薄い酸化膜では表面しか水素化されなかったが、厚い酸化膜でアルミをコーティングした場合、内部まで水素化された。この実験から、陽極酸化膜の有効性が確認できた。
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