最終(第3)年度は、(A)ヒヤリハットデータベース解析、(B2)オープン環境実車走行試験、(C)実車警報システムの構築と評価、の3項目について取り組んだ。研究実績概要を以下にまとめる。 (A)ヒヤリハットデータベース解析:第1年度に実施した追突ヒヤリのシナリオ分類別に、車速プロファイルの特徴抽出を試みた。各シナリオともトリガー時車速が20km/h以下では後続車が加速中の場合が多く,信号機への気づき遅れシナリオでは30km/h前後の中間車速が多いという特徴が見られた。 (B2)オープン環境実車走行試験:第2年度に開発した追従車は、前方映像等の連続記録が可能なドライブレコーダと、レーザセンサによる先行車との相対情報と、自車挙動情報を車載PCでデータ収集するシステムを搭載し、公道走行可能である。これを用いて、意図的でない通常の通勤パターンでのドライブログを収集した。追従走行状態のデータ記録を確認したところ、レーザセンサと自車挙動センサ出力と、自車前方の交通状態の映像を照らし合わせることにより、先行車接近時の詳細な観察評価が可能であることを確認した。 (C)警報システムの評価:信号付き横断歩道を想定した試験で評価を実施した。先行車には試験条件設定者が同乗し、横断歩道手前で、実在しない信号の黄色への遷移を先行車ドライバに告知音とともに表示する。先行車ドライバは必要に応じ緩制動で停止する。追従車については、信号情報が与えられない場合と、車車間通信で先行車から信号情報を得られる場合の両方について、後続車ドライバの反応を計測した。信号情報の有無による後続車ドライバの制動動作に明確な違いは見られなかったが、主観評価では、先行車の制動を予期して余裕のある制動が出来たとの回答が多数を占め、間接的ではあるが、アダプティブな警報の有効性を示す結果が得られた。
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