研究課題/領域番号 |
23510204
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
山本 久志 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (60231677)
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研究分担者 |
新行内 康慈 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (90267774)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 連続型 k-システム / 信頼度 / アルゴリズム / 最適設計 |
研究概要 |
拡張連続型 k-システムとは、システムを構成するコンポーネントが1カ所に集中して故障するとシステム故障となるシステム(連続型 k-システム)を平面、または立体へと多次元化したシステム、及び、システムとそれを構成するコンポーネントが複数の状態を持つ多状態化したシステムの総称である。これらのシステムは、例えば2次元や3次元の物体のパターン認識確率の評価、立体的に配置されたセンサー(例えば衛星)等による監視システムの評価、デジタルサイネージ・液晶画面に代表される集積画素を用いた表示器の評価、複数種類の発電方法を連携させて地域全体の給電を効率良く運用する電力のコミュニティグリッドの最適運用と評価などに適用される。本研究はコンポーネント故障が従属な拡張連続型 k-システムの信頼度算出方法(状態分布関数)及び最適構成導出方法と設計指針提案を行うことを目的とする。本年度は従属な拡張連続型 k-システムの評価方法の提案のために、主に多状態連続型 k-システムの最適配置の評価基準をシステム状態の期待値とした場合における、1) 多状態連続 k-out-of-n:F システムの最適配置を一意に導く各コンポーネント状態確率の関係(条件)の調査、2) 大規模な多状態連続 k-out-of-n:F システムの最適設計問題のためにSAを用いた効率的な近似解法の精査と提案、3) 保守コストを考慮した円形連続 k-out-of-n:F システムの最適配置施策の提案を行った。加えて 1)から 3) の考え方を加味し、4) 設備配置問題における最適配置近似解探索アルゴリズムへの応用、5) 多期間制約サイクル問題における最適切替問題への応用、また拡張連続型 k-システムを一般ネットワークの特別な場合と捉え、6) 多目的ネットワークシステムのパレート解算出方法とパレート解部分集合算出方法の提案を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2状態の拡張連続型 k-システムについて、Domination 理論による従属な場合のシステム信頼度評価、並びに、Signature 理論による動特性評価を体系化し、統一理論の構築するための準備段階として、本年度は「(1) 国内外の文献調査」として国内外の研究者による過去の Signature 並びに Domination 理論、及び、従属性モデルの論文発表を再調査し「(2) Signature 理論と Domination 理論の統一理論の構築」を試行した。この成果は平成24年度以降にまとめる。また、対象とするシステムを2状態から多状態へ拡張し、「(6) 多状態の従属な拡張連続型 k-システムの評価基準の算出方法及び最適構成導出方法の提案」を行うための基礎研究として多状態連続型 k-システムの状態確率分布算出方法の効率化と最適配置問題に取り組んだ。特に研究実績の 1) システムの最適配置を一意に導く各コンポーネント状態確率の関係(条件)の調査、2) 大規模システムの最適設計問題のためにSAを用いた効率的な近似解法の提案、3) 保守コストを考慮した円形連続 k-out-of-n:F システムの最適配置施策の提案は、本研究課題を進めるための基礎となる。更に、本研究課題の実社会への適用可能性を考察するために、研究実績の 4) 設備配置問題における最適配置近似解探索アルゴリズムへの応用、5) 多期間制約サイクル問題における最適切替問題への応用、6) 多目的ネットワークシステムのパレート解算出方法とパレート解部分集合算出方法の提案を進めた。これらの研究成果を査読論文5本、学会発表14件にまとめた。以上の通り、本年度は研究計画に基づき概ね計画通りに進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降は、はじめに「(2) Signature 理論と Domination 理論の統一理論の構築」を第一目標と定める。そのために統一理論の素案を構築し、本年度までの成果を踏まえて「(3) 2 状態の従属な拡張連続型 k-システムの提案」を行う。このとき拡張連続型 k-システム の故障条件などのシステム固有の性質を利用することで簡略化を考慮し、可能な限り広範囲の従属性が表現できるシステムの提案を目指す。同時に「(4) 2 状態の従属な拡張連続型 k-システムの信頼度算出方法及び最適構成導出方法の提案」の厳密解法による導出方法提案を進める。次に最適構成を決定する評価関数を検討した上で解析的手法により最適構成の特徴と傾向を探り、数値実験により検証する。しかし、大規模なシステムの評価は困難であると予測されるため、進化論計算を用いた疑似最適構成導出方法の提案を同時に進め、大規模なシステムの最適構成の特徴と傾向を探る。そして、得られた知見を活用し、2 状態の従属な拡張連続型 k-システムの評価方法と最適構成導出方法の効率化を図る。次に (3)(4) の議論を通して (2) の統一理論を明確にし、「(5) 拡張 Signature と拡張 Domination の提案」に取り組む。(5) を踏まえ、多状態連続型 k-システムの最適配置問題の解法の成果を拡張することで、次に「(6) 多状態の従属な拡張連続型 k-システムの評価基準の算出方法及び最適構成導出方法の提案」するための基本的なアルゴリズムの提案を行う。また、(4) で進める従属な拡張連続型 k-システムの信頼度算出方法を拡張して多目的ネットワークシステムのパレート解算出方法に適用し、(2) と (5) の成果を踏まえてコンポーネント状態に従属性がある一般的な(ネットワーク)システムの設計指針提案を図る。「(1) 国内外の文献調査」は、平成24年度以降も継続して進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度発注予定であったノートPC、サーバーがコスト面・性能面で合致せず未発注であったが、平成24年度発注予定である。また、予定していた数値実験の方向性が変わったため、その詳細を検討し平成24年度実施する。また、平成24年度に秋葉知昭を研究分担者として採用し、主に「(4) 2 状態の従属な拡張連続型 k-システムの信頼度算出方法及び最適構成導出方法の提案」「(6) 多状態の従属な拡張連続型 k-システムの評価基準の算出方法及び最適構成導出方法の提案」に従事する。そのために平成24年度と平成25年度の研究費を再配分する。以上を考慮し、平成24年度については、研究代表者の山本は研究成果の整理と発表のために機器、及び各種消耗品の購入を計画する。また研究途中の成果を国内外の研究者と議論し、評価を得ることで研究方針の確認と新たなアイデアの創出を図るために国内会議と国際会議への出張を各1回計画する。そして、研究成果のデータ整理のための研究補助と、成果論文発表への支出を計画する。研究分担者の新行内は数値実験のための環境整備および研究成果の整理・発表のための各種機器・消耗品購入を計画する。また研究途中の成果を議論し新たなアイデアを創出するために国際会議への出張を1回、成果論文発表のための支出を計画する。新たに研究分担者となる秋葉は、研究途中の成果を議論し評価を得るために国際会議への出張1回を計画し、成果論文発表への支出を計画する。
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