研究課題/領域番号 |
23510205
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
真下 綾子 山梨県立大学, 看護学部, 講師 (80551639)
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研究分担者 |
早川 ひと美 東北大学, 大学病院, 助教 (50381306)
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キーワード | 質の改善 / 質の指標 / トヨタ流質改善 |
研究概要 |
平成24年度は、ケアの質向上を目指すQuality Improvement Specialistの教育プログラム開発のため研究会議を3回およびトヨタ流病院経営に関する研究の第一人者である真野俊樹氏による勉強会(平成25年3月2日)を開催した。 研究会議は計3回開催し、参加者は主任研究者を含め3名、会議では平成23年度の日米の医療機関および日本企業における調査結果をもとに、日本版のQuality Improvement Specialist (以下QIS)がどのような役割・能力を備えることが必要かを検討した。日本版QISの教育プログラムの目的は、「医療・看護の質に関する情報等から自施設の医療・看護の質改善につなげる活動のリーダーを育成する」とした。職務として、「1.医療・看護の質指標、医療関係者、患者からの要望・意見等に関する情報を収集し、分析し、その結果を病院全体・各部署に提示する。2.情報をもとに、どのような医療・看護の質を改善するのか病院責任者、担当部署の責任者にアドバイス・協議する。3.医療・看護の質を改善するために、様々な分野・プロジェクトでの活動計画、実施、分析を主体的に進める。4.医療・看護の質を改善するために、人材育成、教育、アドバイス等を行う。」とした。また、質を改善するための活動手法としては、トヨタ流質改善手法(以下TPS)を用いる。教育日数は、全5日間とした。質改善の手法を考え、自施設の問題を明確にし、何を改善するべきなのかを前半の3日間で検討し、約半年後の2日で質改善の活動の進捗状況を共有化する教育プログラムを検討した。前半の3日間では、主に、医療・看護の質指標の概念、データ収集方法や、TPSにおける5W1H,KYT,5S,アンドン,QCサークル活動などを学習し、後半では活動状況の確認と評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り研究会議を開催し、米国、日本の企業での調査でトヨタ流の質改善手法が有効であることが明確になり、医療機関での応用を勉強会を通して検討を行った。 今後、本研究をトヨタ流の質改善の第一人者と共同しながら実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、本研究の最終年度を迎える。教育プログラムを開発し その妥当性、有効性を検証する予定である。単に研究の一環での教育プログラムとして終わるのではなく、学会の資格認定や職種を問わずに学べる研修プログラムとして広く用いられるような教育プログラムを目指す。医療機関雑誌への投稿を行い、周知し、臨床現場でのニーズを踏まえながら、随時、教育内容を修正しながら継続することを検討している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、本研究の最終年度となっている。教育プログラムに従って試行し、その教育効果を検証する。具体的には、 Quality Improvement Specialistの教育プログラムに必要な教材等の開発・作成を行うことを検討する。さらに本研究の研究者、及び連携研究者・研究協力者等がQuality Improvement Specialistの教育プログラムを実行できるよう、運用マニュアルを作成し、シミュレーション研修を開催し、メンバー間の格差がなく、統一した内容で研修が実施できるようにする。研究費は集合研修の実施のため、交通アクセスの良い東京都内の貸し会議室を使用するための使用料、研究協力者、講師へ謝金、Quality Improvement Specialistの教育プログラムを受講する前・後に具体的な医療施設での活動等のアンケート調査を実施した結果の分析をおこなうためのパソコン、分析ソフトの購入に使用する。さらに、Quality Improvement Specialistの教育プログラムの効果について学会で発表し、学術誌に公表するための投稿準備費用に使用する予定である。
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